【識者談話】周囲への広がり調査必要 下水から13倍のPFAS 原田浩二氏(京都大准教授)


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原田浩二氏

 米軍の事前説明によると、処理水のPFOS・PFOA量は国の目標値を下回る1リットル当たり2・7ナノグラムだった。その数値を前提として、今回宜野湾市の調査で出た数値を考えると、常に普天間飛行場からは汚染水が流れていることを示していると言える。

 時代や環境で異なるが、一般的な下水から出るPFOSなどの値としては、近年で測定されたことがない数値だ。2010年に札幌市が実施した調査ではPFOSが最大で5ナノグラムだった。06年に京都の研究グループが関西地区で実施した調査でも3・4~7・9ナノグラムだった。下水処理場の段階で、さまざまな排水が混ざるので、低い数値にはなるが、それを加味しても宜野湾市の数値は高い。

 PFOSなどは環境中で分解されにくく、蓄積性がある。今回は分かる範囲で処理されただけであり、昨年度の泡消火剤の流出や、これまでの汚染問題は解決されたわけではない。今後も周囲への広がりがないか調べていく必要がある。

 また、2・7ナノグラムという目標値以下の数値だから放出しても良いというわけではない。生物に濃縮されやすいという特質がある。環境への影響が不確かな状況で、流すべきではない。

 (環境衛生学)