【北部】世界自然遺産に登録された沖縄島北部に自生するキク科植物が新種の固有植物であることが判明し、「ヤンバルアオヤギバナ」と命名された。京都大学大学院などの研究で明らかになり、沖縄美ら島財団が10日に発表した。
アオヤギバナは本州~鹿児島県屋久島に分布。河川水位の洪水時と平常時の間にあたる「渓流帯」とよばれる川岸で育つため、洪水に対する耐性を持つとされる。沖縄島のアオヤギバナもこれまで、屋久島以北と同種だと認識されてきたが、今回の研究で直接的に血縁関係がなく独自に進化したことが分かった。
ヤンバルアオヤギバナはやんばるの限られた川岸にしか分布していない希少種。屋久島以北と同種だと考えられてきたため、国レベルの絶滅危惧種には指定されていない。研究に参加した同財団総合研究センターの阿部篤志上席研究員は「希少性を見直す必要がある」と強調。「種だけでなく、渓流帯の環境を保全することも重要だ」と指摘した。
研究は京都大学大学院や美ら島財団、東北大学植物園などの研究チームが遺伝分析や栽培試験を実施。クリタ水・環境科学振興財団(東京都)の研究助成を受けた。今年6月、国際学術誌「Acta Phytotaxonomica et Geobotanica」に掲載されている。