なくそう「受診遅れの死」…無料低額診療の利用を 沖縄県民医連が呼び掛け


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県民主医療機関連合会は9日、那覇市泉崎の県庁で会見を開き、2020年に全日本民主医療機関連合会に加盟する病院などの事業所で、経済的理由による受診の遅れが理由で、患者や利用者ら40人が死亡したと報告した。そのうち1例は県内で確認された。同連合会は、低所得者などが無料で受診できる無料低額診療事業の利用を呼び掛けた。

 亡くなった40人のうち男性は29人、女性は11人だった。年代別では60代15人、70代12人、50代7人、80代4人、40代2人。

 受診時の保険種別では、無保険・被保険者資格証明書を合わせると13人で、短期被保険者証と後期高齢者の短期被保険者証を合わせると18人だった。無料低額診療事業の利用者は16人だった。

 無料低額診療事業は低収入で生活に困っている人を対象に、社会福祉法に基づき一定期間、医療費を無料または低額にする制度。県内では沖縄医療生活協同組合に加盟する8施設で同事業を実施している。

 同組合は10年度より事業を始め、一時、年間千件以上の利用があったが、11年度以降19年度まで毎年減少していた。20年度は前年より24件増え、351件だった。21年4~7月の3カ月は125件の利用があり、前年比142%となっている。新型コロナウイルスの影響で失業したり、収入が減ったりし利用者が増えたとみられる。

 県民医連の高崎大史事務局次長は「資格証明書などを窓口で提示すると、保険料を滞納していることを示すことになる。周りの目を気にして医療を受けない人も多い。命を救う制度として無料低額診療事業があるので、利用してほしい」と説明した。