「生理の貧困」という言葉から経済的困窮者だけを想起してしまいがちだが、取材を通し父子世帯や虐待、親との不仲など、家庭内での孤立も背景にあることが分かった。生理用品を購入できず不快感を抱きながら過ごすことは、女性の尊厳にも関わる問題だ。
新型コロナウイルスの影響で、休職や失業に追い込まれた人は多い。アンケートなどでは、「月に一度の生理は、すぐに節約の対象になった」というコメントは少なくなかった。子どもの分も購入しなければならない保護者や経血量が多い人など、月数百円では済まない人もいる。親を頼れない学生やアルバイトができない高校生には負担となる。
県は福祉事務所などで、無料配布を開始した。解決に向けて取り組みが始まったことは大きな前進だ。しかし対面での受け取りに強い抵抗感を示す意見が多かった。支援体制の構築は急務だ。同時に、無料配布だけでは根本的な解決策にはならない。
必要とする人に生理用品を確実に届けるためには、誰にも言えず悩んでいる人がいることを知り、生理について性別に関係なく共に学びを深めることが一歩となる。孤立させず、相談しやすい環境づくりが求められている。
(嘉数陽)