【深掘り】下地氏の自民復党、困難視されるが…衆院選前に綱引き強まる


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 県都・那覇市を中心とした衆院沖縄1区の構図を左右する現職の下地幹郎氏=無所属=の自民党復党を巡り、下地氏側と自民県連側の駆け引きが最終盤を迎えている。9日には、下地氏復党を求める経済界の「保守合同を実現し沖縄の未来を創る会(保守合同の会)」の国場幸一会長(国場組会長)らが県連を訪れ、下地氏との協議を要請。県連側は初めて協議を検討する構えを見せた。ただ鍵を握る県連内では、間近に迫る衆院選までに復党議論が決着するのを困難視する見方が大勢を占める。

 復党が保守一本化の事実上の条件となる中、下地氏側も臨戦態勢を崩しておらず、1区は保守分裂の三つどもえになるとの見方が支配的な情勢だ。

後押し

 保守合同の会は9日、県連から今まで拒絶されてきた下地氏との協議を検討するとの言葉を引き出した。関係者によると、柔軟な姿勢の背景には国場会長への配慮があったという。県連は「復党は認められないとの前提」(中川京貴会長)だが、保守合同の会は「復党議論のきっかけにしたい」(関係者)と糸口を探りたい考えだ。

 13日に発足した保守系元首長・議員による「県政奪還を実現し沖縄の確かな未来を創る会」は会見で、下地氏復党への直接的な関与は否定した。ただ、「保守合同」の必要性を繰り返し強調し、事実上、下地氏と県連の協議を後押しする格好となった。下地氏に近い関係者は「まとまる必要があるとのメッセージとなり得る」と期待する。

「会う必要」ない

 保守合同の会は「まとまらなければ、1~4区全てで自民候補は支援できない」(関係者)としていることなどから、1区以外への影響を懸念し、県連内にも復党に理解を示す声もある。

 ただ、県連内の大勢は、復党は認めるべきではないとの意見だ。復党を最終的に判断する党本部の動きが見えない上、衆院選まで時間が限られているためだ。ある県連幹部は「会えば復党議論になる。衆院選前に会う必要はない」と、協議の場の設定にも否定的だ。下地氏との協議の場を設けても、復党議論に進展がなければ、前回、前々回と同様に三つどもえの闘いに突き進む可能性は高くなる。

 一方で保守分裂の共倒れを避けようと、両陣営に対して支持基盤から保守一本化への“圧力”が強まることも予想され、今後の動向には流動的な側面も残されている。
 (大嶺雅俊)