コロナ禍のイベント事業者 異業種変更を余儀なく 中止相次ぎ、収入減「県は飲食店同様の補償を」


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コロナ禍でイベントの開催が見込まれず、異業種の清掃業に参入した県出店業事業協同組合の喜久村幸洋専務(提供)

 新型コロナウイルスの感染防止対策に伴い、昨年からイベントや祭りの開催がほとんどできない状況が続いている。県内イベント関連事業者の中には、厳しい現状を乗り越えようと清掃業や飲食店を始めた事業者がいるなど、収入確保のため異業種への業態変更を余儀なくされている。コロナ収束後も、イベント関連の本業と並行して現在取り組んでいる副業を継続していく事業者もいるほか、困窮する現状への補償を行政に訴える声も上がっている。

 昨年3月ごろ、新型コロナが県内で流行し始め、イベントや祭りが相次いで中止となった。以降もイベント開催のめどが立たず、祭りで屋台などを出店する県出店業事業協同組合の喜久村幸洋専務は、コロナの影響が少ないエアコン・ハウスクリーニング業への参入を決めた。

 喜久村専務は「イベントの中止で仕事がほとんど無く、収入も次第に尽きてきた。飲食業では生活ができないと判断し、違う業種を選んだ」と振り返った。

 本業と全く違う清掃業への参入ではあったが順調に進んでおり、「コロナ前に戻った時に、両方とも商いができる状態にしてステップアップしていきたい」と前向きな姿勢を見せた。

コロナ禍での厳しい現状を乗り越えようと、飲食店「コーストキッチンアカバナー」を開業した米須清治さん(右端)と妻の琴里さん(左端)=14日、与那原町板良敷

 2008年ごろから祭りなどへの出店を始めた米須清治さんも、昨年は仕事がほとんど無くなり、金融機関からの融資や政府の給付金などで生活をつないできた。現状を打破しようと今年1月、飲食店「コーストキッチンアカバナー」を与那原町で開業した。

 米須さんは「新型コロナが収束し、早く屋台の出店をしたい。固定店舗も副業として存続させていきたい」と願った。

 一方、今年のゴールデンウイーク期間に、本島中部でイベント開催を準備していた池宮商事(北谷町、池宮城正樹社長)は、新型コロナの感染が再び広まったため、開催直前で急きょ中止を余儀なくされた。

 県イベント事業協同組合の代表も務める池宮城社長は「既に広告も出していたのに、突然のキャンセルで約1200万円の損失が出た」と厳しい顔で話した。その上で「県が外出自粛などの協力を求めているため、イベントなどの開催も実質できない。それでもわれわれにほとんど補償がない。ぜひ県に飲食店同様の協力金を求めたい」と訴えた。

(呉俐君)