航空機整備会社「MRO」コロナ下も成長 那覇空港格納庫、黒字転換


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全日本空輸の機体が入ったMROジャパンの格納庫=16日、那覇空港

 県内最大の航空機整備の格納庫施設を運営するMROジャパン(那覇市)の中司直己社長は16日、開業後の実績などを那覇空港内の同社で説明した。2019年1月に伊丹から那覇空港に格納庫を移転して開所し、コロナ下でも年間約100機で30万工数の航空機整備を手がけている。

 「MRO」はメンテナンス、リペアー、オーバーホールの頭文字を取った事業領域で、航空機の修理などの整備業務を請け負う。MROジャパンは19年度は施設移転に伴う費用がかかり赤字決算だったが、20年度は整備の受託数を増やし、売上高が前年比4・7%増の27億円となり黒字に転換した。21年度も黒字を見込む。

MROジャパンの実績について話す中司直己社長(左)=16日、那覇市大嶺の本社

 航空会社の経費節減によって客室改修などの業務受注が減るなど、新型コロナウイルスの影響を一定は受けた。だが、感染防止対策による各国の入国制限などから、海外のMRO施設に整備を出せなくなった国内航空会社の機体の整備業務を取り込んだ。今年1月からは航空自衛隊戦闘機の洗浄も受託している。

 業務を契約している航空会社は現在、親会社の全日本空輸(ANA)の他に国内5社、海外は香港エクスプレス(香港)、スターラックス(台湾)の2社となっている。

 MROジャパンはアジアの主要都市と距離が近い沖縄の利点を生かして海外航空会社との契約拡大をターゲットに掲げるが、現在はコロナの影響で取引が進んでいない。

 今後の海外との往来再開後を見据えながら、シンガポールや台湾、中国など整備費用の安さが強みの海外MRO施設に対する競争力を高めるため、3年後までに価格を10%引き下げることを検討する。国内の航空会社に対しても、海外に機体を運ぶよりもコストが縮小できることを利点としてアピールする。

 従業員は約300人で、正社員約150人のうち9割が県出身者だ。今後、整備数を年間50万工数まで拡大することを目指しており、従業員も600人まで増やす予定。

 中司社長は「人員が増えて生産性も高まっているので、競争力は上がっている。施設の拡張まで展開したい」と話した。