医療従事者が自宅療養者の買い物代行「つながれば安心」 沖縄


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ライフブリッジの下地竜己さん(左)、川満尚彦さんが宅配を始めた高齢者の好みや栄養を考慮した1週間分の食品セット=1日、宜野湾市

 新型コロナウイルスの流行が収まらない中、感染などを理由に外出できない人へ食品を届ける民間の買い物代行が始まっている。「得意を生かしてできることを」「頼る先があることを知って」とコミュニティナースの金城有紀さん(35)=中城村=と、訪問介護のライフブリッジ(那覇市)はそれぞれ9月から活動を始めた。

 自宅療養者などに食料などを配布する支援の有無は市町村で異なり、支援があっても届くまでに日数がかかることもある。

 金城さんの頭に浮かんだのは、沖縄に多いシングルマザーだ。母親が感染すれば、外出もできず子どもの預け先もない。物資を届けながら、体調を確認して必要な情報も届けられたらと、自宅療養者向けに約3日分の飲み物やおかゆを組み合わせたセットの販売を始めた。おきなわこども未来ランチサポートからゼリーなどの提供を受け、価格を3500円に抑えた。

 利用には無料通信アプリLINE(ライン)で金城さんとつながり、ネット上で注文する。金城さんたちが配達をする。各地で協力者が集まり、浦添市や西原町、沖縄市、うるま市周辺まで配達するという。

コミュニティナースの金城有紀さん

 「つながれば情報共有もできるし、何かあっても安心」と金城さん。コロナ禍で孤立しがちな人たちが安心できるきっかけになればと考えている。

 高齢者の自宅を訪問してリハビリや生活上の「御用聞き」をするライフブリッジは65歳以上を対象にサービスを展開する。高齢者にはネット通販を使えない、身近に頼る人がいないといった人も多い。会員の訪問時に行っていた買い物代行サービスを、コロナ禍で一般も利用できる解放した。

 濃厚接触や軽症などの人が、約1週間分の飲食物のセット(約6千円相当)や希望の商品を電話で注文できる。手数料は1回700円程度で、人件費や交通費を踏まえると、赤字覚悟だという。

 スタッフの下地竜己さん(39)=理学療法士=と川満尚彦さん(35)=作業療法士=は「代金は落ち着いてからの後払い」で応じている。「やれることからやる。頼る先があることを知ってほしい」と呼び掛けた。

 ライフブリッジは(電話)098(800)2701、金城さんのLINEはhttps://line.me/R/ti/p/%40940jpmxe