金武で地下水からPFAS 米軍ハンセン近く、飲料水源の取水中止 町は周知せず


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 【金武】沖縄県の金武町が昨年6月に実施した地下水の水質調査で、町民が飲料水として利用する地下水から、発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)のPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)が、国の暫定指針値を大きく上回る値で検出されていたことが17日までに分かった。金武区の米軍キャンプ・ハンセン近くにある水源3カ所から検出された。町は「不安を招く」として、事実を町民に周知していなかった。この水源からの取水は現在行われていない。 

 16日の町議会(嘉数義光議長)9月定例会で、崎浜秀幸町議の一般質問に仲間一町長らが答えた。

 国は暫定指針値としてPFOA・PFOSの合計値を1リットル当たり50ナノグラム以下とする。昨年6月の水質調査では、ハンセンのフェンス近くにある水源1カ所で405ナノグラムと指針値の8・2倍、もう1カ所で190ナノグラムと3・8倍を検出した。近接する別の1カ所でも2019年12月に指針値を超えた。

 町は浄化した地下水と県企業局からの水を混合して水道水を提供している。昨年6月以降、町は3カ所からの取水を停止。減少分は県企業局からの水道供給を増やして賄っている。町は「水道水は浄化して指針値をクリアした安全な水だ。安心して利用してほしい」と強調した。崎浜氏は「地下水がPFOA・PFOSで汚染されるには時間が掛かる。ハンセンから何十年も継続的に流出していた表れではないか。町は基地内への立ち入り調査を求めるべきだ」と指摘した。

 県企業局によると、金武町への水の供給量は1日6500立方メートル。PFOA・PFOSを要因とする取水停止のほかに水道使用量の増加想定などもあり、町は水の供給増加を企業局に求めていた。仲間町長は「企業局の水で全て供給できるようにしたい」と語った。同局は見通しについて「現在調整している」としている。