【深掘り】政府「敗北だ」沖縄県「尻ぬぐい、半植民地」…米軍汚染水を日本処理


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米軍の処理水放出を受け、宜野湾市下水道施設課が水を採取した地点=8月26日午前11時ごろ、市伊佐(市提供)

 在沖米海兵隊が、普天間飛行場から有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)を含む汚染水を処理して公共下水道に放出した問題を巡り、残りの汚染水を防衛省が引き取った上で焼却処分することとなった。さらなる放出という「最悪の事態」(県幹部)は回避された形だ。一方、本来は米軍が負担すべき汚染水の処理費用が日本の税金で支払われることになり「敗北だ」との声も日本政府内から漏れる。

 海兵隊は8月26日、日米両政府が対応を協議中、一方的に下水道へ放水した。独自のシステムでPFASを低減したと主張したが、宜野湾市が当日、下水道から採取した水からは国の暫定指針値の13・4倍に当たるPFASが検出された。

 県や市は抗議の意向を示したが、米軍は「安全で効果的な方法だ」と対応を正当化し、「抗議を受け付ける案件ではない」と拒否。県は米軍が再び一方的に放出することを警戒していた。

 今回、当面の放出が回避され、県関係者は「米軍に任せていたら何をするか分からない。そういう意味では一安心だ」と胸をなで下ろす。一方で、「米軍の後始末を、日本側が肩代わりするのは疑問がある」と指摘する。

 海兵隊は従来の焼却処分から下水道に流す方式へ変更する理由に、費用の問題を挙げた。県幹部は「いつまで米国の尻ぬぐいをするのか。半植民地だ」とため息をついた。

 本来、米軍の活動で生じた汚染水は、米軍の責任で処分することになっている。米軍の特権を担保する日米地位協定にも、日本政府が処理費用を支払う定めはない。だが、強硬な米側を説得しようと、日本政府は早い段階から一部を引き取って処分する選択肢を提示していた。政府内では放出基準を策定する案もあったが、環境への影響調査などには膨大な時間がかかる。政府関係者は、米軍が放出を急ぐ中、「両者が速やかに現実的に折り合えるものは限られていた」と説明する。

 結果、汚染水の引き取りにとどまらず、格納庫補修の費用負担という「上乗せ」まで米軍に約束させられた。前例ができたことで、今後も米軍が狡猾(こうかつ)な強者の態度で、要求を強めてくる可能性もある。

 (知念征尚、塚崎昇平、明真南斗)