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特殊詐欺が巧妙化、高齢者の被害ふせぐには?<けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 警察庁によると2020年の全国の特殊詐欺の認知件数は1万3550件と前年比で3301件減少(▲19・6%)、被害額は285億2千万円となっています。被害額は14年(565億5千万円)時点から約半減したものの、依然として高齢者を中心に被害が相次ぐ深刻な状況となっています。

 発生する被害の内訳は、東京都が最も多く2896件、神奈川県1773件、千葉県1217件、大阪府1107件など大都市に集中し、1日当たりの被害額は単純計算でも約7790万円と高額です。

 こうした特殊詐欺の手口は年々巧妙化しています。高齢者の被害が特に多いのが「預貯金詐欺」や「キャッシュカード詐欺盗」と呼ばれる新たな手口です。親族や役所職員を装い「口座が犯罪利用されている」などを名目に自宅を訪れ、暗証番号を聞き出しカードをだまし取る手口です。また昨今、新型コロナウイルスを名目にした「コロナ給付金」をかたるものや「ワクチンの優先接種」をちらつかせ金銭を要求する手口もあり、注意が必要です。

 沖縄県警によると本県の特殊詐欺件数は19年で19件発生、被害額では2千万円を超えています。しかし実際は、被害届を出さないケースなど数字以上の被害があると県警は警鐘を鳴らしています。

 われわれ金融機関においても一連の金融被害の防止態勢は喫緊の課題です。詐欺被害に関する不安や相談は、警察や各自治体、最寄りの金融機関への迅速な一報が被害防止につながります。

 (沖縄銀行監査部上席検査役 野原長武)