炎天下が続く沖縄から、紫外線や熱中症対策に効果的な折りたたみベンチが誕生し、話題になっている。太陽光発電パネルの架台などを製造する立神鐵工所(豊見城市、上江洲正直社長)は、日光を遮る屋根付きの「シェードチェアー」を開発した。専用かばんに収納して持ち運びでき、数分で組み立て可能と機能性も抜群。今月から県内ホームセンターでも販売が始まった。同社は「さまざまなイベントで使用できる」とアピールしている。
立神鐵工所は、経営安定化に向けた新規事業の開拓に意欲的に取り組んでいる。2016年に、特殊なくいとグラスファイバーを使った風に強いビーチパラソル「RyuPara(リューパラ)」を開発しており、シェードチェアーはリューパラブランドの第2弾となる。
上江洲社長の息子が部活でサッカーをしていたことが開発のきっかけ。炎天下でプレーする息子や、日傘を差しながら応援する保護者の姿を見てひらめいた。工場で折りたたみベンチに屋根部分の骨組みを溶接して使ってみたところ評判を呼び、試行錯誤を繰り返し18年に完成した。19年には沖縄の産業まつり意匠部門の県知事賞に輝いている。
大人2人が安心して座れる耐荷重140キロ以上のベンチに、湾曲したパイプをつなぎ合わせて生地をかぶせた形状になる。屋根にジョイントを取り付けられるため、横につなげたり向かい合わせたりとアレンジも自由だ。
コロナ禍で生産に課題があったが、昨年末に中国の工場を確保し、今年5月ごろから取引先など関係先を中心に販売した。購入者がレジャーなどで使用する様子が、写真共有アプリ「インスタグラム」でも話題になっているという。
9月からはメイクマン3店舗で税込み9800円で販売されている。県外では京都私学振興会に500台が出荷され、量販店などからの商談や問い合わせも寄せられているという。立神鐵工所は来年の売り上げ目標を9千万円以上と掲げ、将来的に県内で生産し雇用創出も視野に入れる。
上江洲代表は「シーミー(清明祭)やスポーツ大会、海水浴やバーベキューなどさまざまな場面で使用できる。桜前線のように、沖縄から全国へ商品を発信したい」と意気込んだ。問い合わせは(電話)098(856)4546。
(小波津智也)