海にすんでいるのに淡水が好きな巻き貝＜北谷の海辺散歩・生物調査から＞7

　アマオブネガイ科の小型種ハナガスミカノコは、淡水である地下水がじわじわとにじみ出てくるような海岸に生息する、１センチほどの小さな巻き貝です。海岸周辺の開発で、生息できる環境が減っています。

　干潮時の干潟で、きれいな水が吹き出しているところを注意深く観察すると、ハナガスミカノコを含め、小さな生き物がたくさん生息していることに気付きます。多様な場所に生息できるものもいれば、限られた場所にしかいないものもいます。この貝はきっと淡水が好きなのでしょう。

　調査では「水がじわじわにじみ出る」貴重な環境が北谷にも残され、この貝も生息していることが明らかになりました。多様な生物が生息できる豊かな環境は他にもあることが分かっています。次は何が見つかるか、楽しみです。

　（小澤宏之・県環境科学センター主席研究員、藤彰矩・北谷町教育委員会学芸員）