【嘉手納】九州、沖縄8県の弁護士会で構成する九州弁護士会連合会(森本精一理事長)の畑知成常務理事(沖縄弁護士会会長)らは21日、嘉手納町の沖縄防衛局を訪れ、名護市辺野古の新基地建設事業の停止を求める意見書を手渡した。同連合会が同様の意見書を出すのは初めて。
意見書は埋め立て予定海域での工事によるジュゴンやサンゴ、藻場への影響に触れ、そもそも従前の環境保全措置が不十分だったと主張している。2013年の埋め立て承認後、大浦湾に軟弱地盤が見つかっており、沖縄防衛局が昨年県に申請した設計概要変更について「希有(けう)な地理的特徴を改変し、多種多様な貴重な生物を絶滅させ、豊かな生態系を不可逆的に破壊してしまう恐れが強い」との考えを示した。
さらに、工事の大幅な変更が予定されているにもかかわらず、十分な環境影響調査がなされていないとし、環境影響評価法や公有水面埋立法の趣旨から問題だと指摘した。国は設計変更に伴う環境影響評価を新たに実施した上で県知事の承認を求めるべきで、行っていない以上、建設を停止すべきだと訴えた。
意見書を沖縄防衛局職員に手渡した後、畑常務理事は「(国の)設計変更申請に対する結論が出される前に、法的な面から意見を言っておきたかった。環境影響評価(アセスメント)が行われておらず対策が不十分だ。きちんと(事業を)止め、アセスをやり直す必要がある」と述べた。