コロナ下「就業体験もできない」悩む特別支援学校 卒業後の自立へ模索


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 「就業体験が思うようにできない」―。琉球新報が県内の特別支援学校に実施したアンケートには、生徒が仕事を通してやりがいや課題を確認する就業体験や校内実習がコロナ禍で中止や延期になっていることが分かった。進路に直結し卒業後の自立に向け、社会性などを習得するための重要な機会の確保に向け、教育現場では模索が続く。

 中部農林高等支援学校は1学期、2年生の就業体験が中止となり、農園芸や洗車などの校内実習に切り替えた。仲本邦也教頭は「校内は校外での体験に比べ選択肢が限られる」として、企業での体験の重要さを指摘する。

 一方、別の学校では校内実習の機会も減少している。やえせ高等支援学校は食品加工や販売、接客などの校内実習ができないと回答した上で、「生徒が経験不足になっている」と指摘した。

 沖縄高等特別支援学校は昨年、臨時休校などの影響で1学期、全学年の就業体験が中止になった。稲田洋一教頭は「チャンスを1回失った。生徒の進路に直結するとても重要な機会になるのだが」と、声を落とす。例年、生徒はスーパーで青果の品出しや野菜の袋詰め、事務職で文書のコピーや冊子作成などさまざまな体験をする。

 だが、今年も緊急事態宣言の延長が繰り返され、当初の計画通りには進まない。1学期の体験は夏休みに延期して実施。2学期は企業側との調整が続く。稲田教頭は「生徒にとって企業の評価は刺激になる。学校としても貴重な機会を確保したい」と言葉に力を込めた。