地域で高齢者や障がい者の見守りを 消費者被害防止、沖縄弁護士会がシンポ


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消費者被害の予防や救済について、オンラインで意見を交わすパネリストら

 高齢者や障がい者の消費者被害の実態を知り、予防や救済のためのネットワークの在り方を考えようと、沖縄弁護士会は23日、オンラインシンポジウムを開いた。消費者問題や福祉の現場を知る支援者らが意見を交わし、高齢者らへの被害防止のため、地域で連携して対応する重要性を訴えた。

 ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使い、約280人が視聴した。消費者教育に詳しい琉球大教育学部の土屋善和准教授は、基調講演で「批判的思考」ができる消費者になるべきだと説いた。

 パネル討論では5人のパネリストが意見を交わした。コーディネーターを務めた寺田明弘弁護士は、消費者安全法に基づいて自治体が設置する「消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)」が県内にないと指摘。設置が遅れている理由について、県消費生活センター相談員の仲宗根京子さんは「人員や予算措置の問題や、個人情報の管理などの業務イメージができていないのではないか」との見解を示した。

 那覇市地域包括支援センター松川の中村丘学所長は、必要とは思いがたい製品を複数購入した高齢女性の事例などを挙げ、被害がはっきりしない段階で他機関に相談していいのか悩むことがあるとし「定期的に集まって顔を合わせる場があればいい」と望んだ。

 おきなわ障がい者相談支援センターの溝口哲哉理事長は、当事者に寄り添うあまり、支援者が地域で孤立することもあるとし「当事者はもちろん、支援者をいかに支えていくかを考えている。地域の皆さんと手をつないでやっていけたら」と連携を訴えた。横井理人弁護士は、ネットワークができれば、被害が生じないような予防や、迅速な救済につながると指摘した。