海と科学から広がる夢…OISTのミラー・メリアさんが中高生に教室「多様な世界触れて」


社会
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「科学を通して子どもの夢を広げたい」と話すOISTのミラー・メリアさん=16日、恩納村のうんな中学校

 「理系に進む子どもたち、特にリケジョ(理系女子の略称)が少ないと言われているが、学校を回っていて、女子生徒が特別に理系を苦手に感じているとは思えない」。こう話す沖縄科学技術大学院大学(OIST)のミラー・メリアさん(45)は県内の中高校生に科学教室を開き、海と科学の魅力を伝え、将来の夢の選択肢を広げようと活動している。16日は恩納村のうんな中学校で、生徒たちにクラブ活動の一環としてのサイエンスクラブへの参加を呼び掛けた。

 那覇市出身のメリアさん=旧姓・城間=は高校時代、獣医になることを夢見ていた。希望する大学には入学かなわず、琉球大学理学部海洋自然科学科に進学した。サンゴ礁の生態系などを研究しているうちに海、とりわけサンゴに魅了された。現在に至るまで26年、仕事として海に携わる。

 「思いがけない出合いだった。沖縄にはこんなにきれいな海が広がっているのに、サンゴ礁などの研究をする海洋学という学問があるなんて、高校生の頃にはほとんど知りもしなかった」

 現在はOISTで科学教育アウトリーチチームリーダーとして、海と科学を通じ、県内の中高校生に科学の楽しさ、沖縄の自然の豊かさなどを伝えている。「理系の仕事は医者など、限られた仕事しかイメージできないかもしれない。世界には知らない仕事や学びがたくさんあるんだと、子どもたちに知ってもらいたい」との思いも膨らんでいる。

 メリアさんは恩納村のうんな中学校で月に数回、学校の目の前に広がる海を教材とし、観察や実験をする予定だ。「気になったらまずは一度、体験してみて」。思わぬ形で自分をとりこにする学びに出会えることをメリアさんは経験済みだ。「気軽にいろんな世界に触れてみることが大事」と、子どもたちに伝えている。
 (嘉数陽)