沖縄でフラワーデモを続ける理由 「誰かの必要な場所に」静かな抗議、3年目に


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花やプラカードを手に、道行く人へ性暴力根絶を訴えるサイレントスタンディングのフラワーデモ=2020年11月11日、那覇市泉崎の県民広場

 性暴力の根絶を訴え、花を片手に毎月11日午後7時からに那覇市泉崎の県庁前広場に集うフラワーデモin沖縄。2019年8月からスタートし、9月で3年目に突入した。花とメッセージボードを手に、静かに道行く人に訴えるサイレントデモ。性暴力を許さないという抗議の気持ちを共有し、被害者への連帯を示す静かなデモに、共感の輪が広がっている。

 19年3月に相次いで4件の性暴力事件の無罪判決をきっかけに、同年4月に東京と大阪で始まった。東京の主催者と親交のあった上野さやかさん=浦添市=が、沖縄での開催を打診されスタートした。上野さんは「続けることによって、誰かの必要な居場所になっていると感じている。それだけでも十分かなと思う」と話す。

 30分のデモ後は、参加者が話す場を設ける。強制ではなく、どんな思いで参加したか、かつて受けた性被害について、思い出したくないはずの過去を語り始める人もいる。

上野さやかさん

 上野さんは「その場でどのような話が出るのか分からず、話すことで当時のことがよみがえる二次被害にならないか心配することもある。怒りみたいなものを共有することもあれば、やっとここまで来れたという人もいて人それぞれ。一人じゃないんだという不思議な気持ちにさせられる」という。

 多い時で130人ほどが参加したこともあったが、最近は10~20人ほど。若い人から年配まで世代は幅広く、離島から来る人や男性、外国人が参加することもある。

 きっかけとなった性犯罪の裁判は、控訴審で立て続けに一審無罪が覆され、量刑が重くなった。しかし性犯罪立証のハードルになっている「暴行・脅迫」要件など、法的な課題は残っており、刑法改正を訴える声も高まっている。

 「続けることに意味がある」とし、これからも毎月11日にサイレントデモを続けていく。9月はあいにくの雨で中止となったが、次回は10月11日午後7時から、県民広場で行う。