新型コロナウイルスの緊急事態宣言が1日に解除され、感染対策は県独自措置に移行した。流行第5波では「医療崩壊」が懸念された県内医療機関だが、現在は制限していた一般診療を再開する動きが広がっている。ただ、新規感染者は数十人で推移しており、再拡大も懸念される。県専門家会議の藤田次郎座長(琉球大学大学院教授)は「本来ならまん延防止等重点措置の段階だが、政府の事情で全面解除となった。気が緩むと感染者が増加する可能性は高い」と警戒している。
新規感染者数が減少したことで、県立宮古病院では9月13日から診療制限を解除しており、延期していた手術を再開している。県立八重山病院は同27日から一般外来を再開し、手術や検査は10月から再開する予定だ。
県立南部医療センター・こども医療センターは、9月27日から段階的に制限を解除し、地域の医療機関からの紹介患者も受け入れており、10月からは通常体制に戻す。県立中部病院は週明けの4日から、一般外来の制限を解除する予定で、再流行に備えて新型コロナ専用病床を確保しながら、通常診療に戻していく。
藤田座長によると、第5波を乗り越えた各医療機関の連携や対応力に加え、ワクチン接種の拡大や抗体カクテル療法などの新しい治療薬の使用で、患者の回復が早くなっているという。ただ、全国一斉の全面解除によって県境を越える移動が増え、感染が再拡大することを懸念している。「長期間の自粛によるストレスも理解するが、飲みに行くにしても対策を忘れず、気を緩めないでほしい」と呼び掛けた。