飲食店「緊張の秋」 待っていた宣言解除、第6波への不安抱え


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鶏肉の下処理をする居酒屋「炭火焼とり寛」の泉川寛光店主ら(手前)=30日、那覇市泉崎の同店

 4カ月以上続いた新型コロナウイルスの緊急事態宣言が1日、解除された。休業していた県立施設や居酒屋は感染予防の設備を整え、営業再開に備えた。若者が多い大学は、対面授業再開か遠隔授業継続かで揺れたまま後期の授業が始まる。県内の新規感染者は減少傾向だが、感染状況はいまだ全国最悪で、医療関係者は予防策の継続を呼び掛けている。「日常」再開の希望と「第6波」への懸念が交錯し、緊張感を保ったまま宣言解除を迎えた。

 1日からの営業再開に向け那覇市内の飲食店では感染対策を施したり、予約を取ったりするなど再開準備を進める様子が見られた。

 那覇市泉崎の居酒屋「炭火焼とり寛」は緊急事態宣言に伴う休業期間中に、保管していた酒や肉などをほとんど廃棄するなど影響を受けた。30日、従業員らは仕切り板の消毒や肉の仕込みに汗を流した。肉の卸業者や、換気扇のフィルターを販売する業者も店を訪れた。店主の泉川寛光さんは「トンネルの出口から光が差し込んでくるような感覚」と再スタートに向けた準備も万全だ。

 那覇市東町の居酒屋「団欒(だんらん)酒場赤とんぼ」は9月29日から1日以降の予約を取り始めた。30日午後4時までに3組の予約があった。料理長の知名定保さんは「まだまだ少ない。様子を見たい」と話した。

[公的施設]サービス一部は休止 接種・陰性証明の確認も

1日からの再開に向け、貸し出し用の車いすを消毒するスタッフ=30日、那覇市の首里城公園・首里杜館

 緊急事態宣言の解除を受けて、休館していた県立博物館・美術館や県立図書館などの県有施設は1日から開館する。運用は午後8時までとし、感染拡大防止対策で一部のサービスは休止するなどの制限を設ける施設もある。県は市町村にも同様の対応を呼び掛ける。

 首里城公園は城郭内の有料区域や首里杜館を7月22日から休館としていたが、10月1日から再開する。9月30日には、スタッフらが車いすなどの備品を消毒し再開に備えていた。

 沖縄美ら海水族館も1日から営業を再開する。一部プログラムについては、ワクチン2回の接種済み証か、72時間以内のPCR検査陰性証明書などの確認を求める。

[大学]遠隔と対面併用 授業開始も「油断できぬ」

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除される1日、県内のいくつかの大学は後期課程が始まる。「まだ油断はできない」「気を緩められない」と、引き続きオンラインも活用した遠隔授業を継続させる大学が多い。ただ「学習機会の保障」として、対面授業に戻すことを検討する動きもある。

 琉球大学は30日、大学ホームページで学生らに改めて感染症対策を呼び掛けた。宣言解除ですぐに対面授業へ戻すことはせず、しばらく対面授業と遠隔授業の併用を続ける。ただし、感染対策を講じることを条件に、フィールドワークなど課外授業も一部認める。

 一足早く後期課程が始まっている沖縄国際大も、対面と遠隔を併用した授業をしているが、宣言解除を受けて制限を緩和するか、今後学内で話し合う。