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プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングスは9月30日、沖縄アリーナでアルバルク東京(東地区)と今季開幕戦を行い、63―62で勝利した。新加入選手との連係のほころびからミスが頻発し、12点ビハインドで前半を折り返したキングス。第4クオーター(Q)に激しい守備から流れをつかみ、逆転に成功した。次戦は2日午後2時から同アリーナでA東京と戦う。
第3Q中盤、この試合最大の15点差をつけられたキングス。このクオーターの終盤、今季の新たな武器であるラインナップが発動する。ドウェイン・エバンスと新加入のアレン・ダーラム、日本国籍取得選手の小寺ハミルトンゲイリーを加えた「3ビッグ」(桶谷HC)がコートへ。体の強さと高さを生かしたメンバー構成で、攻撃力が増した。
東京は比較的小さな選手が務めていたスモールフォワードの位置にエバンスが入ることで、度々ミスマッチの状況が生まれた。身長差を生かしてゴール下の簡単なシュートやフリースローで得点を量産し、じりじり詰め寄っていく。14連続得点などで第4Q中盤に逆転し、逃げ切った。
チーム最多の19得点を挙げたエバンスは、チームとして16個ものターンオーバーを記録したことを念頭に「きれいな内容ではなかった」と振り返ったが、「一人一人が自己犠牲を払い伸びしろが多いチーム。いいシーズンになる」とファンに初優勝を誓った。
一方、高さという力技での勝利に、岸本隆一は「そこだけに頼っちゃだめという危機感は持っている」と自戒を込める。「彼らが中心になっていく中で、周りの選手もステップアップが必要」と、連係や個々の技術をより向上させていく決意をのぞかせた。
(長嶺真輝)
田代、要所で決めた/主将、大逆転原動力に
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第4Q残り約6分30秒。怒濤(どとう)の追い上げで4点差まで迫ったキングス。もう一押しという勝負どころで、主将の田代直希がスリーポイントラインの外側正面でボールを受けた。「限られたチャンスで思いきり打とうと考えていた」。迷いなく、シュートを放った。
バックスピンのかかったボールは高い弧を描き、ゴールへ。ネットをきれいに揺らし1点差とすると、声を出せない観客席から「うおー」と地鳴りのようなうなり声が響いた。逆転後もたくみなドリブルからレイアップを沈めるなど、勝利をたぐり寄せる原動力となり「(シュートが)入ってくれて、株が上がって良かったです」と冗談ぽく笑った。
主将として、声掛けでも仲間を鼓舞した。前半はパスミスなどが相次ぎ、チームとしてわずか24得点。それでもドライブから周りを使う共通意識はそれぞれ貫いていたため、ハーフタイムで「シュートが入っていないだけだから気にしないでいい」と前向きな言葉で雰囲気を盛り上げた。
「チームづくりはまだまだ」と自覚しながら「選手層の厚さは感じた。勝っても自分たちが強いと勘違いせず、一歩ずつ成長していきたい」と力強く語った。
(沖縄アリーナ、3780人)
キングス 1勝
63―62(14―21,10―15,21―18,18―8)
A東京 1敗
【評】新加入選手との連係にほころびが目立ち、前半だけで11ターンオーバーを記録したキングス。それでも第3Q途中からビッグマン3人を投入し、流れをつかんで逆転に成功した。チームとして未完成な部分と、高さと強さという新たな強みが混在して表れた開幕戦となった。
◆いい布陣見つけた
桶谷大HC(キングス)の話 第1Qから主導権を握られたが、我慢していけば流れがくると思っていた。第3Qの最後に良い選手のラインナップが見つかり、連続得点ができた。勝ちながら一つ一つ成長し、幹の太いチームにしていきたい。
◆悔やまれる試合
ルカ・パヴィチェヴィッチHC(A東京)の話 クロスゲームを落としてしまい、非常に悔やまれる開幕戦となった。エバンス選手がスモールフォワードで出ている時間帯に守備で緩みが出た。攻撃、守備でリズムを狂わされ、冷静さを欠いてしまった。