行政で、学校で、社会で…「機微に触れる」経験 大城讓次島尻教育研究所長<未来へいっぽにほ>


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大城讓次(島尻教育研究所所長)

 私の勤める教育研究所は、南部広域行政組合教育委員会を事業主体とする教育機関で、これまで幼小中の先生方300人余の研修修了者を輩出するなど域内教育の充実に努めてきた。小中教諭の研修内容は授業改善に係る研究として、当該校での検証授業、教科等の理論と実践について、当方指導主事や提携している琉球大学、沖縄女子短期大学などの外部講師に指導助言を仰ぎ進めている。また当組合は、関係市町村のごみ等処理業務を担っている行政機関でもあり、ある会議で「機微」を感じることに遭遇。学び続けることの重要性を再確認した。

 ある担当者が、執行予算の削減を最優先に業者選定をしたところ、上司からさらに改善を促されたという。長期的な観点に立つと、関係市町村の利益にはつながらないことが理由の一つだったようだ。一方は市民、もう一方は市町村の目線に立って最善を尽くした。私たちの生活に必要であることを理由の一つに社会は構成され、そこに携わる多くの人の思いが、私たちの生活を支えているのだと再認識させられた。このような「機微に触れる」状況は学校でも感じる。現実と携わっている方々の思いなどを教材化し、学校教育に積極的に取り入れ、子どもたちが本物に触れる機会を企画実践していく必要があると考える。

 私は折に触れ、未来ある子どもたちに直接伝える立場の教職員に、このことを伝え続けている。そして今、最も思いを馳(は)せ、エールを送りたいのは、医療現場等関係機関で、必死に未曽有の災禍と闘っている人々のことである。彼らの懸命な努力のおかげで、私たちは安心してさまざまな「機微に触れる」経験を積むことができている。彼らへの敬意と感謝、そしてこの災禍の終息を願いながら本稿を閉じたい。