南風原中学校では、9月から生理用品を女子トイレに設置している。必要な人は自由に使用可能としているが、生徒からはとまどいの声も伝わってきた。養護教諭の仲田麻希子さんらは「生理の貧困」について子どもたちが考える機会とし、9月24日の放課後に保健委員と生徒会執行部数人を保健室に集めて、配布方法などを話し合った。持ち帰り用の袋の設置など、さまざまな意見が上がった。
9月中旬、校内の女子トイレに掲示された張り紙を見た女子生徒たちは、首をかしげた。「町内の団体から生理用品の寄贈がありました。必要な方は利用してください」。個室の内側には、生理用品の入ったポーチが設置されている。「なんで生理用品の寄贈があったの」「生理用品ってみんな自分で持ってるよね」「誰でも使っていいってこと?」―。友だち同士で「あれ見た?」と話題にはなるが、答えは出ず、利用したという生徒の声はなかなか聞こえてこない。
設置された生理用品は、さまざまな理由で生理用品の入手に困る「生理の貧困」問題を受け、町内の女性団体などが町を通して各学校へ寄贈した物だった。学校は一部をトイレに設置したものの「どうすれば校内の困っている生徒に確実に届けられるのか」「トイレへの設置ではなく、他に方法があるのでは」など、配布の仕方に頭を悩ませていた。
養護教諭の仲田さんらは24日、放課後に保健委員と生徒会執行部数人を保健室に集めて、配布方法などを相談し合った。
「女子生徒を集めて説明し、そこで配るのはどうだろう」。提案した仲田さんの意見に、生徒たちは「待った」を掛けた。3年の新垣穂奈美さん(14)は「困っている人の手に渡ればいい。平等に配る必要はないはずだ。家にお父さんしかいない人とかは、相談しづらくて困っているはず」と話した。同年の平良紗希さん(15)は「以前、飲食店のトイレに置いてあるのを見て便利だと思った」と話し、残りの生理用品もトイレに設置する方向性が決まった。「誰が困っているのか、先生が気付けるような仕組みもほしい」という別の生徒の提案もあり、一部は保健室に置くことにした。「無償の生理用品を必要としている人は、複数個持って帰りたい人もいるかも」という意見もあり、持ち帰り用の紙袋を設置する案も上がった。今後は生徒にどう説明するかなどを話し合う。
3年の中村樹李さん(14)は「気まずさもあるけど、男の人の理解も必要だと思う」と話した。養護教諭の仲田さんは「生徒同士の話し合いで、父子家庭への理解や教育の在り方にまで話が及んだことにびっくりした。共に学ぶことができた」と話した。
(嘉数陽)