宮古島前市長、5カ月ぶり公の場 表情変えず淡々と無罪主張 陸自用地取得巡る収賄で初公判


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初公判に臨む下地敏彦被告(イラスト・相弓子)

 「賄賂として受け取ったものではありません」。陸上自衛隊宮古島駐屯地の用地取得を巡り収賄罪に問われた前宮古島市長、下地敏彦被告(75)の初公判。贈賄側のゴルフ場元社長(65)が起訴事実を認め、執行猶予付き判決が言い渡されており、下地被告の認否に注目が集まっていた。下地被告は表情をほとんど変えることなく淡々と無罪を訴えた。

 午後2時30分ごろ、逮捕、送検から約5カ月ぶりに公の場に姿を現した下地被告。紺色のスーツと薄い水色のシャツを身に付け、弁護人3人とともに入廷した。

 地検によると、下地被告は9月27日に保釈された。長期間の勾留のためか、逮捕時と比べてやせ細った様子。傍聴席を見渡し、被告側の席に着いた。裁判長から起訴事実について認否を問われると、背広の内ポケットからメモを取り出して証言台に置き、淡々と読み上げた。

 検察官の冒頭陳述には、隣に座る弁護人が示す資料に目を落としながら耳を傾けた。

 弁護側は陸自駐屯地の用地取得に市長としての職務権限がないことなどを主張した。県警の捜査は下地被告と政治的に対立する人間からの情報提供が契機となったことも指摘。「情報提供者の筋書きに乗っかった」と批判した。渡した現金に対する、ゴルフ場元社長の供述が変遷したことも挙げて「ほころびが顕著になっており、全体の主張自体が破綻している」と検察側の主張を批判した。