浦添市でパートナーシップ制度スタート「今日は結婚記念日」 性の多様性尊重


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浦添市で第1号となるパートナーシップ宣誓証明書が交付された伊是名美沙さん(左)と笹川優衣さん=1日、浦添市安波茶の市民協働・男女共同参画ハーモニーセンター

 【浦添】今年3月に沖縄県浦添市議会で可決された県内初の「性の多様性を尊重する社会を実現するための条例」が1日、施行された。条例施行で同日始まったパートナーシップ制度により、市在住の伊是名美沙さん(29)と笹川優衣さん(33)に市から宣誓証明書が交付された。2人は「わたしたちにとって今日は結婚記念日。平たんな道のりではなかったがパートナーとして認められる日を迎えられてうれしい」と笑顔を見せた。

 市安波茶の市民協働・男女共同参画ハーモニーセンターで行われた交付式には松本哲治市長が出席。「2人の宣誓は困難の中にある方々への勇気や希望を与えるもので、多様な性のありようについて理解を深める大きな一歩になる」と門出を祝った。パートナーシップ制度の導入は那覇市に続き2例目。宣誓証明書は2人の関係性を認めて尊重し、幸せを願うもの。

 那覇市出身の伊是名さんと青森県出身の笹川さんの出会いは2018年。共通の知人を通じて参加した浦添市の「てだこナイトラン」で意気投合し、すぐに交際に発展した。翌年には同居生活をスタートさせ、結婚を意識するようになった。笹川さんは「2人の間で結婚したいと話していた。宣誓証明書に法的効力はないが、結婚と同じだと思っている」と語った。

 中学生の時、初めて女性が好きであることを周囲に打ち明けた伊是名さんは、当時の経験から「(同性愛は)駄目なこと、ばれちゃいけないことなんだと思っていた」と振り返る。笹川さんと出会ったことで、両親や友人にもカミングアウトできたという。「誰もが自由に人を好きになっていい社会に向けた第一歩になってほしい」と願った。

 宣誓証明書は「一方、または双方が性的マイノリティーで、互いを人生のパートナーとして日常の生活において相互に協力し合うことを約束した2人」に交付される。市はパートナーとなった2人が「家族」として、職場での福利厚生や病院での面談、生命保険の受け取り、住宅ローンの借り入れなど、さまざまな場面でサービスを享受できる環境になるよう、企業などへの働き掛けを強めていく。