【記者解説】沖縄県議会9月定例会振り返り 議員のパワハラ疑惑、コロナ対策、新振興計画…


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 沖縄県議会9月定例会の代表・一般質問の全日程が終了した。県立中部病院で発生した新型コロナウイルスの大規模クラスター(感染者集団)を巡り、県病院事業局の職員が照屋守之県議(沖縄・自民)から威圧的な発言を受けて体調を崩したとして、同局が議員への厳正な対処と再発防止を求める公文書を県議会議長に提出。代表質問1日目が予定されていた9月17日は議会が空転し、文書に対する緊急質問が行われるなど異例の展開となった。

 「パワハラ疑惑」を巡る検証は先延ばしとなっているが、県議会のハラスメント防止に向けたルールづくりの必要性が浮き彫りとなった。病院事業局が照屋氏に聞き取り調査をせずに文書を出したことに対しても批判が上がった。照屋氏は同27日の一般質問で「パワハラと認めない」などと自身の発言内容を否定した。

 新型コロナを巡っては、9月中旬以降、感染者数が減少傾向にあるため、経済活動再開に向けた質問も相次いだ。県はワクチン接種証明書や、一定の感染対策をとった認証店制度の活用を推進していく考えを強調した。一般質問期間中の28日、政府は9月末で沖縄などの「緊急事態宣言」を解除すると発表。接種証明書の活用方法やデジタル化などについて、与野党ともに定例会中の常任委員会などを通して、議論を深める。

 次年度以降の新たな沖縄振興策について、玉城デニー知事の要請活動が足りていないとの指摘が野党側から相次いだ。県は沖縄振興開発金融公庫の存続を強く打ち出したほか、県側の要望を受け入れてもらえるよう政府との交渉を続ける考えを示した。年末には次年度の概算要求が控えており、新しい振興計画の策定や予算編成に向けて、与野党の論戦が今後、熱を帯びそうだ。

 (池田哲平)