沖縄銀行を傘下に置く銀行持ち株会社「おきなわフィナンシャルグループ(OFG)」が1日に発足した。OFGの初代社長に就いた山城正保氏(沖銀頭取)に、持ち株会社体制への移行の狙いなどを聞いた。(小波津智也)
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―銀行持ち株会社への移行を決断した経緯は。
「伝統的な銀行業だけでは、顧客の多様化・複雑化するニーズに対応できないと判断した。県内の金融環境は、県外他行の進出や異業種からの参入など、競争は激化している。現在は、新型コロナウイルス感染症により経済活動が打撃を受け、先行きの不透明さも急速に高まっている。将来的には人口減少や少子高齢化が進行し、地域経済の縮小も懸念される状況だ」
「地域金融機関に求められる役割として、新たにコンサルティング機能を通じた面的な広がりも求められるようになってきた。目まぐるしい社会の変化に適応するため、これまでの銀行を主体とした『総合サービスグループ』から、『金融をコアとする総合サービスグループ』へ進化する。そうして事業領域を拡大し、地域の課題を金融、非金融の両面から解決につなげ、地域社会の価値向上と当社グループの持続的な成長を目指す」
―体制移行のメリットは何か。
「まずは、非金融の領域へ事業を拡大する。OFGの中核が沖縄銀行であることに変わりはないが、7月にスタートした地域総合商社『みらいおきなわ』のように、事業者の販路拡大に資するサービスを提供することで、金融事業との相乗効果が期待できる。現在、成長戦略の策定に着手しており、正式に決まり次第公表したい」
「銀行法が定める一般事業会社の株式取得を制限する『5%ルール』が緩和される恩恵もあるが、新体制下で役職員の意識・行動改革を促し、グループの機能強化にもつなげたい。OFGがグループ全社の戦略・企画を立案し、グループ全体の最適化を見越した意思決定を行うことで、お客さまの多様化・複雑化するニーズに対し、シームレスなサービスを提供していくことが可能になる」
―今後の経営計画で目指す具体的な目標は。
「中期経営計画では、計画最終年度となる2024年3月期には連結当期純利益で60億円を目指す。挑戦的な計画だが、持ち株会社体制移行のメリットを最大限に享受できる構えを取ることで、達成できると考えている。OFGではガバナンスの強化を目的に、監査等委員会設置会社へ移行する。移行に伴い社外取締役の比率を高めることで、経営の監視体制を強化していく。業務を執行するわれわれにもいい緊張感が生まれることになると思う」
「また、健全な連結自己資本の維持や連結ROE(自己資本利益率)の向上実現へ、リスクアペタイトフレームワーク(RAF)を導入し、リスクカルチャーの醸成や新たな事業領域の拡大に取り組む。目指すべき姿は、金融と非金融の事業領域の融合を図り、マーケットインに基づくビジネスモデルへとさらに進化し、金融をコアとする総合サービスグループへの進化だ」
(インタビューは琉球新報の質問項目に書面で回答を得た)