若い力で地域課題解決 「八重山ヒト大学」学長の前盛さん(石垣市) 学び・対話・挑戦の場に


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八重山ヒト大学学長の前盛よもぎさん=27日、石垣市

 八重山に関わりのある若者を中心に、学び合い共に地域の課題解決を目指す団体「八重山ヒト大学」。市民同士が学びを深める社会人の学びの場、いわゆる「ソーシャル大学」の学長として「若者が島への思いを形にできる場」づくりを目指す活動を続けている。

 ―地域おこしを始めたきっかけは。

 「高校卒業後、東京の大学に進学したが、石垣とは違って人のつながりが薄いと思い、居心地の悪さを感じた。地域に関わり、人と向き合う仕事がしたいと思ったことが地域おこしに携わるきっかけになった。大学在学中には、白川郷のある岐阜県白川村で地域おこしに関わり、八重山でも活動したいと考え団体を設立した」

 ―八重山ヒト大学はどのような活動をしているか。

 「八重山には大学がなく、高校卒業後に多くの若者が島を離れるので若い世代が少ない。そのような中で、これから島を離れる10代、島を離れて頑張る20代、八重山に帰ってきた30代の人たちを中心とし、『ほしい未来をつくろう』を合言葉に地域のために行動できる場を目指して活動している。学び・対話・挑戦の三つの場をつくることが目的だ。“大学”なので年齢は関係ない」

 ―具体的な取り組みは。

 「例えば、島出身の先輩たちをゲストに招き高校生を対象とした進路に関するワークショップを開いた。ほかには、八重山の魅力を再発見するためにまち歩きのイベントを開いた。車社会の現在、ゆっくり町を散歩する機会はなかなかないが、参加者は楽しくおしゃべりをしながら、見つけた魅力を写真に撮っていた。参加者が撮影した写真の展示会もした」

 ―今後、取り組んでいきたいことは。

 「私は石垣島北部の野底集落で暮らしているが、最近、地域住民と島外から来た事業者、そして観光客で集落に求めていることに違いがあると感じている。開発で、すてきなまちができることはうれしい半面、昔から残る良さが消えてしまうかもしれない。これは一例だが、八重山ではみんなが『いいね』と言えるような対話ができていないことがままあるので、互いが歩み寄れる場づくりをしたい。幅広い世代で、地域に還元できる具体的な活動ができるように取り組みたいと考えている」

(聞き手・西銘研志郎)


まえもり・よもぎ 1995年6月生まれ、石垣市野底出身。八重山高卒業後、早稲田大に進学。大学在学中、岐阜県白川村に移り住み、地域おこし活動に取り組んだ。2018年に八重山の若者たちによる地域課題解決の場づくり目指し、「八重山ヒト大学」を設立。20年に帰郷し、学長として八重山を拠点に活動している。