沖縄の小中学校、バリアフリー基準適合義務の把握は38%


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 県自立生活センター・イルカは3日、8月27日~9月24日に沖縄県内の公立小中学校全407校を対象に実施したバリアフリー法改正に関するアンケート結果を発表した。4月1日のバリアフリー法改正に伴い、公立小中学校はバリアフリー基準適合義務の対象に追加されたが、改正を把握していると答えたのは回答のあった226校のうち、38%の86校にとどまった。一方、障がいがある児童・生徒が入学を希望したにもかかわらず、学校施設がバリアフリーに対応していないため入学できなかった事例の発生はなかった。

 障がいのある児童・生徒が入学する際、移動の妨げになる箇所があるなど学校施設のバリアフリー対策が十分でないと答えたのは、226校のうち9校だった。アンケートの結果は同日オンライン開催されたDPI日本会議とイルカによるインクルーシブ教育推進フォーラムで報告した。

 フォーラムではアンケートの回答から、学校現場が抱える課題や行政に対する要望についても一部紹介した。ある学校では肢体不自由の生徒が在学するが、階段の上り下りが困難なためエレベーターが必要だと窮状を訴えた。また別の学校は、施設のバリアフリー化のため行政にスロープなどの設置を要望しても、予算がないと断られ続けていることを明らかにした。報告者でイルカスタッフの大城亮さんは、バリアフリー化が学校現場の判断に委ねられていることを問題視し、「行政主導で推進することが急務だ」と指摘した。

 イルカは近日中にアンケート結果の詳細をホームページ(https://okinawa-iruka.jimdofree.com/)で公表する。