石垣島に漂着のペットボトル初出荷 繊維に再生へ 自治体と商社が全国初契約


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初出荷される漂着ペットボトル=9月29日、石垣市

 【石垣】石垣市はこのほど、繊維などを取り扱う商社の豊島(名古屋市)と市内に漂着したペットボトルの継続的な買い取り契約を締結したと発表した。自治体としては全国初という。豊島はペットボトルを加工し、帽子やかばんなどの雑貨、シャツなどの衣類を作るための繊維として再利用する。

 石垣市によると、豊島側から取り組みへの打診があった。豊島によると、同社の担当者が家族旅行で石垣島に訪れた際、海岸に多くのごみが流れ着いている現状を知ったことや、2019年に市が開いた未来の島づくりのあり方を考える「アイランダーサミット」で、豊島が市の取り組みを知ったことが連携のきっかけになったという。

漂着ペットボトルなどを原料とした繊維を使った雑貨(豊島提供)

 市が引き渡すペットボトルはボランティアが収集した。9月29日にはボランティアが4~7月に拾い集めた計約1.5トン、個数にして約8万本のペットボトルが初出荷された。豊島はこれらのペットボトルを一般ごみのペットボトルや他の素材と組み合わせ繊維化し、活用していくという。

 市の推計では年間に2.5~3トンの漂着ペットボトルが回収されている。漂着ペットボトルには塩分が多く付着しているためこれまでは再加工が難しく、市は業者に依頼し、他のごみなどと埋め立て処分をしていた。年間に500万円以上の処分費用が掛かっていたという。市は今後3年間、年に2~3回程度、豊島側にペットボトルを提供する。

 市担当者は「海をきれいにするという回収ボランティアのモチベーション向上になり、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みの第一歩になる」とアピールした。豊島の担当者も「個人、企業、自治体などの垣根を越えて連携しながらよりよい未来につなげていきたい」としている。