宮古島市がし尿処理計画を見直し 前市政の決定変更、現施設の整備強化へ


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この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
図面を示しながら変更した計画を説明する宮古島市の座喜味一幸市長=1日、宮古島市役所

 【宮古島】宮古島市が防衛省の予算を活用して計画する新・し尿処理施設建設を巡り、座喜味一幸市長は1日、市伊良部の新施設建設を見直して市平良荷川取の下水道処理場にし尿を投入するための前処理施設整備に変更する方針を示した。同日、市役所で会見を開き、9月30日付で国に計画の変更申請を文書で提出したと発表した。

 座喜味市長は9月27日に防衛局に計画見直しを直接、説明した。その上で「防衛局側からは、(変更を)理解した。変更申請をしてほしい」旨の回答があったと明かした。「今後は変更申請を審査してもらい、承認をもらうことになる」とした。

 新施設建設の事業総額は約36億円を予定していたが、計画変更に伴い約11億円削減され約22億円となった。荷川取の前処理施設の供用開始は当初計画と同じ2024年度を目指す。

 宮古島市では、市平良荷川取にある公共下水道処理施設で、し尿を希釈して処理している。下地敏彦前市政時の20年3月、市は市民や専門業者への説明会を開かないまま市伊良部佐和田にし尿処理施設を新設する計画を決定した。

 座喜味市政になり、伊良部案では「業者と市民への負担が増える可能性がある」と見直しを始めた。市内浄化槽清掃業者も見直しに賛同し、問題点を検証するための影響調査実施を市に要請していた。
 これに対して前市政時に与党だった野党側は激しく反発した。6月と9月議会には計画見直しなどを理由に座喜味市長の不信任案動議を提出したものの否決されている。

 座喜味市長は1日の会見で、計画見直しの経緯についても説明した。前市政時の19年にも荷川取の下水道処理施設で共同処理の方針だったが、一転して伊良部案が浮上し20年に確定したとした。「なぜ急に荷川取から伊良部案となったのかの経緯は不明だ」とした。