溺れた高校生を漁船で迅速救助 漁師ら「助かってよかった」 沖縄・南城


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溺れた高校生を漁船から救助した久保田優作さん(左から2人目)と浦崎慎吾さん(同3人目)=9月29日、南城市の奥武島漁業組合

 【南城】中城海上保安部は9月29日、沖縄県南城市玉城奥武島付近の海岸で溺れていた高校生を漁船で迅速に救助したとして、八重瀬町の浦崎慎吾さん(37)と、同町の久保田優作さん(34)に感謝状を贈呈した。高校生は救助後、救急搬送されたが、命に別条はなかった。

 中城海保や関係者によると8月15日、奥武島と本島を結ぶ奥武橋から、サンダルを落とした高校生が、サンダルを拾おうと海に入ったところ、強い海流の影響で溺れた。その様子に気付いた漁師が、近くの港で漁の片付けをしていた浦崎さんに電話で船での救助を依頼した。

 漁の手伝いをしていた久保田さんと浦崎さんは船で救助に向かった。高校生の頭は浮き沈みを繰り返しており、久保田さんが海に沈む高校生の手をつかんだものの、流れが強く、高校生の体が海中に引き込まれた。久保田さん1人では引き上げられず、操縦席の浦崎さんも救助に当たり2人で高校生を引き上げた。久保田さんは緊迫した現場を目の当たりにし、翌日まで手の震えが止まらなかったという。

 奥武島漁業組合で開かれた感謝状授与式で、久保田さんは「高校生が助かり、日常を送れていることに安心しかない」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。浦崎さんは「命が助かって何よりだ」と話した。中城海保の東城英雄部長は「危機的な状況の高校生を迅速に救助してくれたことに感謝している」と述べた。