企業型保育所が突然の閉園 従業員や保護者への通知は3カ月前 那覇


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
イメージ写真

 保育事業大手JPホールディングスの傘下、日本保育サービスが運営する企業主導型保育所「アスクあけぼの海宝保育園」(那覇市曙)が2020年12月、赤字経営を理由に閉園した。設立から約2年で閉園になり、従業員や保護者への通知は3カ月前だった。園児や保護者は戸惑いながら転園先を探し、従業員も異動か退職かの二択を迫られたという。園長を務めた女性は、同じ企業の運営する別の保育所への異動を選んだが待遇が保育士になり、給与は年間150万円程度下がる見込み。「納得できない」として会社と交渉を続けている。

 アスクあけぼの海宝保育園は0~2歳児対象で定員は60人だったが、園児は十数人と定員割れの状態だった。園長だった女性によると、子どもたちの転園手続きを考え20年度末までの継続を会社に要望したが、かなわなかった。女性の給与は22年3月まで補償されるが、その後は下がるという。JPホールディングスは取材に対し「閉園から日がたっており、回答を差し控える」とコメントした。

 女性が加入した介護・保育ユニオンの三浦かおり共同代表によると、「少子化や保育所経営のビジネス化の流れで、もうからないとつぶすケースが増える懸念がある」と指摘する。制度上、急に閉園しても罰則がないのも問題と見ている。「今回は通知から3カ月後の閉園そのものが問題で保護者も振り回された。異議を唱えると報復されるケースもあるが、それでも賃金や待遇面で声を上げる保育士も増えている」と語った。