「また落ちるかも…」増える騒音に募る住民の不安…高江米軍ヘリ炎上から4年


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
2017年に米軍ヘリが不時着、炎上した牧草地の現場を示す西銘晃さん。現場付近からはヤンバルクイナの鳴き声も聞こえるという=11日午前、東村高江

 【東】2017年に東村高江で米軍ヘリ不時着・炎上事故が発生してから11日で4年となった。事故後も米軍ヘリによる民間地上空での低空飛行訓練が繰り返され、騒音が問題になっている。沖縄防衛局が東村高江区と宮城区で測定した騒音データでは、80デシベル(パチンコ店内に相当)以上の騒音測定回数が2020年度は14年度に比べ約3・5倍になった。事故が発生した牧草地を所有する西銘晃さん(68)は「また落ちるかもしれない」と不安な思いは変わらない。周辺に生息する、貴重な動物への影響も懸念されている。

動物へ悪影響も懸念

 西銘さんは「低空飛行など米軍の訓練が危険なのは変わらない。新しいヘリパッドができて騒音は激しくなった」と指摘する。妻の美恵子さん(67)は「音しか聞こえない時は、ヘリが家にぶつかるのではないかと恐怖を感じる」と話す。

 高江で生まれ育った晃さん。子どものころ「武器を持った兵士が民家の近くを歩く光景も当たり前だった」と振り返る。米軍の戦車が学校の朝礼中に侵入してきたこともあったという。1995年に牧草地に米軍機が不時着したこともあると証言するが、当時は「大ごとにならなかった」。「小さい時から訓練を見慣れてしまい、おかしいという感覚はなかったのかもしれない」と話した。

 美恵子さんは「米軍機はどこにでも落ちてくるんだと4年前の事故で強く実感した。基地問題は人ごとではなく自分ごととして考えてほしい」と訴えた。

 不時着現場の周辺では、ヤンバルクイナやオシドリのひななどが姿を見せる。よく現場付近を調査に訪れるという「どうぶつたちの病院沖縄」副理事長の金城道男さん(59)は「人間と同じように、ヤンバルクイナ同士のコミュニケーションを騒音が阻害している可能性もある」と懸念した。
(長嶺晃太朗)