沖縄県内いじめ重大事態 2020年度は14件 問題行動調査


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 沖縄県教育委員会は13日、暴力行為やいじめ、不登校などの現状を把握する2020年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の県版を公表した。「重大事態」のいじめは14件で、児童生徒千人当たりの発生件数は全国値を上回った。このうち生命や心身に重大な被害が生じた疑いがあると認められた「1号重大事態」は9件あった。識者は「コロナ禍で子どもたちの生活や教師の精神的な余裕がどう変わったのか、見つめ直すことが大事だ」と指摘した。

 県内の国公私立の小中高校の暴力行為発生件数は、前年度比408件減の2279件。いじめの認知件数は2695件減の1万2200件、不登校者の総数は135人減の4495人だったが、小学校のみで見ると不登校は302人増加し1564人だった。特別支援学校でのいじめも増加が目立ち、21件増の49件だった。暴力行為、いじめ、不登校者数の小中高の総数はいずれも前年度より減少したが、人口比で全て全国を上回っている。

 いじめ防止対策推進法が規定する「重大事態」は、千人当たりの発生件数が0・06件で、全国の0・04件より多い。「重大事態」は県内12校で14件あった。そのうち「1号重大事態」は9件、相当期間の欠席を余儀なくされた疑いがある「2号重大事態」は10件だった。1号、2号の双方に該当する事案もあり、合計は14件にならない。千人当たりのいじめ認知件数は55・7件で、全国39・7件の1・4倍だった。

 千人当たりの暴力行為発生件数は、小中高全て全国を上回った。小学校は16・5件(全国6・5件)、中学校は10・5件(同6・6件)、高校は1・3件(同1・2件)だった。

 不登校児童生徒数は小学校だけ前年度と比べ、302人増の1564人。中学校は45人減で2099人。高校は392人減の832人。

 暴力行為などの減少について県教委は、学級経営の充実や、新型コロナウイルスによる休校などで子ども同士の接触機会が減ったことが一因とみている。今回の調査では、新型コロナによる登校控えの人数も調べ、30日以上登校しなかった小中高校生は960人だった。