来年の沖縄手帳は裏見開きに注目 制作者「見た人が温かい気持ちに」


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖縄手帳2022年版に掲載された津波さんの作品

 沖縄独特の暦や記念日、歴史年表を盛り込んだ、沖縄手帳2022年版が、1日から販売されている。裏見開きには知的障がいで就労支援事業所ゆいまーるに通っている、津波英正さん(60)=読谷村=の書道作品「このドアをあける人は笑顔で入って来て下さい」が掲載されている。

 創刊28年目の沖縄手帳は、県内の障がい者が手掛けた芸術作品で、フランス語で感情のまま自由に表現した「生(き)の芸術」を意味する、アール・ブリュットを12年から取り入れている。

 津波さんの作品が採用されるのは2回目。前回は12年版だった。発行人の真栄城徳七さん(70)=浦添市=によると、原点回帰として今回10年ぶりに津波さんの別の書を掲載することになったという。

沖縄手帳2022年版のアール・ブリュット作品を制作した津波英正さん(中央)と発行人の真栄城徳七さん(右)、就労支援事業所ゆいまーるの比嘉俊一さん=12日、那覇市の琉球新報社

 津波さんは硯(すずり)に墨汁を入れた後、2時間かけて墨をする。「集中する時間なんです。さまざまなことを想像して作品にします」と語る。今回の作品は、タレントの永六輔さんの書籍の言葉に影響を受けて12年に制作した。「全国の人が裏表紙を開いて温かい気持ちになってくれるとうれしい」と願った。

 手帳はハンディサイズが各998円。ノートサイズは1375円。沖縄復帰50周年を記念し、年表などを新たに収録している。県内書店や琉球新報ストアで販売している。