女性活躍で日本を変えよう 人材育成や登用など国際事例学ぶ 恩納で女性の翼セミナー


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金秀グループの女性登用をテーマに講話する金秀興産社長の砂川久美子さん=1日、恩納村のリザンシーパーク谷茶ベイ

 「意思決定の場に女性力を!」をテーマに「2021年度県女性海外・国外セミナー女性の翼」(主催・一般社団法人県女性の翼)が1、2日、恩納村のリザンシーパーク谷茶ベイで開かれた。本年度新たに研修を受ける第38期「女性の翼」のメンバー12人のほか計146人が参加した。2日目はセミナーと、定例の宿泊研修を合わせて開いた。女性の翼会員も合流した。女性の人材育成と管理職への登用を進めている企業の経営者、男女共同参画の国際比較を研究する研究者を講師に迎え、参加者は女性が能力を発揮し、多様な社会をつくる方策を考えた。

 同会は女性の翼の団員として海外に派遣されたメンバーなどで構成され現在、正・賛助会員は約420人いる。

セミナーに参加する第38期のメンバー

 初日は金秀興産社長の砂川久美子さんが金秀グループの女性登用をテーマに講話した。同グループは2013年に「女性活躍」を経営方針に位置付け、管理職登用を積極的に進めている。

 女性対象のキャリアアップ研修を開き、他企業の視察、他職との機会を設けて人材育成を進めた。金秀商事のスーパー部門は店長1人から今年10月時点で6人に増えた。グループ全体で女性幹部の登用率は30%を目指しているという。

 砂川さんは上司の姿勢について「女性への配慮は必要だが遠慮はいけない」と指摘した。

 また出産・育児を機にキャリアが分断される事例があり「夫の理解が必要だ。女性も(自分にはできないという)固定観念が根強く、まずはやってみるとチャレンジしてほしい」と呼び掛けた。

 初日はほかに、OIST事業開発セクションマネージャーの長嶺安奈さんが「OISTにおける女性活躍」をテーマに、国立女性教育会館客員研究員の中野洋恵さんが女性の社会進出の国際比較をテーマに講演した。

党派超えた連携へ 政治進出、議員らと討議

グループディスカッション=2日

 2日目は、奥村啓子会長の開会あいさつに続き、恩納村の長浜善巳村長が登壇。「現状の日本では政治はじめ、女性活躍の場が少ない。女性の翼の皆さんが行動し、活躍しリードすることで『女性が日本を変える』と頑張って」とエールを送った。

 引き続き糸数慶子さん(パリテカフェ@沖縄共同代表)が「意思決定の場に女性力を!」というテーマで講演した。糸数さんは政府の掲げた、2020年に指導的地位に立つ女性の割合を30%にするという目標が未達成となっている点を指摘し、女性の翼に期待するのは(1)まず候補者を見つける(2)送り出すための必要資金を集める(3)候補者への提言を続ける(4)党派を超えネットワークづくりをする―という四つの視点を提起した。

 基調講演の後、五つのグループに分かれ、喜友名智子県議(36期)をはじめ女性の翼メンバーの市・村の議会議員8人と糸数さんを交え討議した。各グループで進行役を務めたファシリテーター5人が内容の報告をし、沖縄市副市長の與那嶺克枝さん(26期)と糸数さんが講評しプログラムを終えた。 
(小山猛三郎通信員)