泥地に珍しい貝<北谷の海辺散歩・生物調査から>9


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北谷の海辺散歩/ニッコウガイとカモジガイ/ 海底の人工的な深みで見つかったニッコウガイ(右)とカモジガイ=9月、北谷町(町教育委員会提供)

 北谷の沿岸には船の航行のためリーフを削ってできた深みが点在し、砂や泥、サンゴのかけらなどが堆積しています。人工的な環境なので生物は少ないと思われましたが、潜水調査で珍しい生き物がたくさん確認されました。

 写真のカモジガイやニッコウガイもその一部です。干潟から、干潮のときも水中にある潮下帯にある、貝殻やサンゴ礫(れき)が混じる砂泥底に深く潜って生息します。どちらも沖縄本島では環境悪化により生息数が激減しており「レッドデータおきなわ」に記載されています。北谷ではリーフが削られた後、長い時間を経てこのような生物が好む環境になったのでしょう。

 今回発見された生息地は大変貴重で、これらを含めた生息地の保全は島全体での絶滅を防ぐ意味でも大変重要です。

 (沖縄県環境科学センター所長・小澤宏之、北谷町教育委員会・藤彰矩)