現場教員との接点が不足 スクールロイヤー、横井理人弁護士に聞いた


社会
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 スクールロイヤーとして活動している横井理人弁護士に、運用開始から1年が経過した制度の現状について聞いた。

―見えてきた課題は。

 「現場教員との直接のコミュニケーションが取りづらい。現在の運用方法は、教職員が管理職を通して県教育委員会に制度利用を申請し、県教委の判断でスクールロイヤーにつなぐ。スクールロイヤーは相談内容の概略や資料を事前に受け取り、管理職や生徒指導担当者との面談に臨む。担任ら現場の教職員と直接会うことを禁じられているわけではないが、教職員の立場で考えると、管理職や教委を通す必要があるため利用しづらくないか懸念している」

 「制度の活用を希望した教職員が何人いて、そのうち実際に利用したのは何人いるのか。スクールロイヤーにつなげなかった案件はどんな内容だったのかなど、県教委との課題の洗い出しが急務だ」

―11の町村が「顧問弁護士で対応可能」として県による制度設置を希望していない。対応可能なのか。

 「その地域の実態による。スクールロイヤー制度は、2018年1月に日本弁護士連合会が文部科学大臣に出した意見書にあるように、『子どもの最善の利益を念頭に置きつつ、教育や福祉等の視点を取り入れながら、法的観点から継続的に学校に助言を行う』ものである。自治体の顧問弁護士は立場上、『子どもの最善の利益』を最優先できるのか懸念が残る。ただ小規模自治体など、その地域の実情で対応可能な場合もあるだろう」