【寄稿】高江機動隊派遣手続き違法 警察の暴力を許さない(飯島滋明・名古屋学院大教授)


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飯島滋明名古屋学院大教授

 米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設工事への愛知県警の機動隊派遣を巡る住民訴訟の原告の一人でもある名古屋学院大学の飯島滋明教授が本紙に寄稿した。

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 安倍自公政権は東村高江に輸送機MV22オスプレイも離着陸可能なヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設を強行した。当時官房長官の菅義偉氏も2016年内に完成させると発言した。

 しかし夜中にオスプレイが飛ぶことで子どもだけでなく大人でも寝不足になる人がいることも聞いた。実際、高江で夜中に米軍オスプレイが飛行しているのは私も何度も見た。墜落事故が多いオスプレイが飛行することで墜落事故におびえる人もいる。しかも極めて豊かな自然を破壊し、オスプレイなどの訓練場がつくられる。

 憲法的には高江のヘリパッド建設で市民の「平和的生存権」(憲法前文、9条、13条)や「環境権」(憲法13条、25条)が侵害・脅かされる。

 市民はヘリパッド建設に反対したが、16年7月以降、愛知を含む6都府県から機動隊が派遣され、警察が暴力行為を繰り返したことも全国的に報じられていた。私の知り合いでも、両腕にあざができる暴力を警察から振るわれた女性や、警察に突き飛ばされて転倒して泥だらけになった女性もいた。

 警察の暴力行為は憲法で禁じられている(31条、36条)。憲法学者として警察の暴力行為は決して許せなかった。ましてや高江に愛知県警が派遣され、私の税金がこうした暴力行為に使われると思うと、絶対に看過すべきでないと考えた。私も原告となった。同じ思いの愛知県民が集まり、原告は193人に上る。

 名古屋地方裁判所は民主国家の裁判官の資質が疑われる、極めてひどい判決を下した。一方、21年10月7日、名古屋高裁は「人権の擁護者」「憲法の番人」としての役割を果たし、警察の行為を違法などと判示した。

 この判決は、警察の違法・暴力行為に警鐘を鳴らす役割を果たす。大村秀章愛知県知事には高裁判決に対する上告を断念し、警察の違法行為・暴力的行為は許さないという姿勢を示すことを望みたい。

 (憲法学・平和学)