<衆院選1区・紙上討論>沖縄振興計画、離島振興策について3氏の考えは


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 琉球新報社が実施した衆院選沖縄1区の立候補予定者紙上討論で、共産前職の赤嶺政賢氏(73)、自民前職の国場幸之助氏(48)、無所属前職の下地幹郎氏(60)が米軍基地問題への解決手法、新型コロナウイルス対策、経済再生策などについて意見を交わした。基地問題で対立軸が鮮明になったほか、クロス討論では、政治姿勢を問う質問が上がり、互いに厳しい指摘が相次いだ。2022年度以降の沖縄振興の在り方についても意見は分かれ、各立候補予定者が目指す沖縄の針路を示した。(文中敬称略、’21衆院選取材班)


【振興計画】

本土還流を改める 赤嶺氏
政府関与恒久的に 国場氏
経済自立大きな柱 下地氏

 

―沖縄振興計画の現状評価と、今後の在り方は。

 赤嶺 基地と振興をリンクさせ、一括交付金を毎年減額していることは、政府の沖縄いじめであり許せない。振興予算と国の公共事業を本土企業が受注し、本土に還流している現状も改める必要がある。沖縄の特性を生かした観光や農畜産業、漁業、地元企業と人材を育て、足腰の強い経済をつくる。運賃・物流費を軽減し、鉄軌道・LRTを実現する。子どもの貧困対策、消費税5%減税、公契約法の制定、正規雇用促進、中小企業支援と一体の最賃アップなどで県民生活の向上につなげる。米軍基地の返還で経済振興と雇用創出を図る。

 国場 本土との格差是正、自立発展の基礎条件の整備のために復帰後、行われた沖縄振興計画では社会資本は本土と変わらないくらい整備されてきたが、県民所得や離島県の不利益性はまだまだ解消されたとは言えない。中央で沖縄の関心が薄れる中、離島県という特殊事情をはじめ、不利性が解消されない現状が存在する以上、政府の沖縄政策への関与は恒久的に必要だ。

 下地 経済の自立と貧困の問題の大きな柱を立てて、一つ一つを、丁寧にプランづくりしていくことが重要なことであると考える。まず一つには、経済においては、民間活力を誘引するための税制を作り上げていくこと、そして、人材を生かす意味においても、教育費の無償化が必要だ。次に、貧困対策においては、ベーシックインカム制度を導入し、低所得者への公共料金の減免、児童養護施設の拡充・里親制度などを行い、教育費の無償化によって、生活のサポートができることにも効果を発揮する。


【離島振興策】

コスト低減を拡充 赤嶺氏
経済の不利性解消 国場氏
島民生活向上図る 下地氏

 

―離島振興策は。

 赤嶺 沖縄の基幹作物であるサトウキビ生産への支援を拡充し、生産費に見合う価格保障と担い手育成に取り組む。航空運賃の低減や生活資材等への輸送費補助など国の支援を拡充し、離島に住み続けられる環境を整備する。「生活コスト低減事業」を拡充し、ガソリン価格や水道料金の負担を軽減する。医師・看護師の確保、沖縄本島で病気治療する方や出産する妊婦、家族の宿泊施設の整備に取り組む。

 国場 離島の主要産業サトウキビをはじめとする農業、水産業を守る(後継者問題も含め)。船・飛行機・ヘリなどの多層な交通網整備、輸送費支援により離島の経済的不利性を解消。ICTを活用して教育医療体制の充実。

 下地 離島ならではの個性を生かした振興策が必要だ。久米島では超高速船を導入し、観光客50万人を目指す。粟国島でも、那覇―粟国間の航空便が3年ぶりに再開された。慶良間諸島での高速船導入、渡名喜島での遊歩道整備、北大東島でのスマート農業促進や、南大東島の不利性解消事業の制度化など、島民の生活向上を図り、元気な離島づくりを目指す。