<衆院選1区・紙上討論>赤嶺氏、国場氏、下地氏が互いにした質問は?その回答は


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 琉球新報社が実施した衆院選沖縄1区の立候補予定者紙上討論で、共産前職の赤嶺政賢氏(73)、自民前職の国場幸之助氏(48)、無所属前職の下地幹郎氏(60)が米軍基地問題への解決手法、新型コロナウイルス対策、経済再生策などについて意見を交わした。基地問題で対立軸が鮮明になったほか、クロス討論では、政治姿勢を問う質問が上がり、互いに厳しい指摘が相次いだ。2022年度以降の沖縄振興の在り方についても意見は分かれ、各立候補予定者が目指す沖縄の針路を示した。(文中敬称略、’21衆院選取材班)


― 赤嶺氏へ質問 ―

国場氏「オール沖縄 実態は共産党」 → 「保革超え結束強固」
下地氏「移設問題への県政評価は」 → 「自公政権にこそ非」

 国場氏から赤嶺氏へ―オール沖縄の実態が共産党と露呈され、保守中道の離脱が相次ぎ、分断助長、自衛隊解体、破防法団体への県民の不安に対する見解。

 「あなたや仲井真元知事の公約投げ捨て、県民裏切りに憤り、保革の立場を超えて平和で誇りある沖縄を目指し構築されたのがオール沖縄だ。県民投票や全国の野党共闘にもつながり、政権を争うまでに発展している。建白書実現への団結は強固だ。海外の戦争に自衛隊を参戦させる憲法違反の安保法制を廃止し、憲法9条を守り抜くことを訴えている。選挙で政治を変えるのが、我が党の一貫した方針だ」

 下地氏から赤嶺氏へ―翁長・玉城県政の7年間、辺野古移設問題は裁判をはじめとして、さまざまな手法を用いるも客観的結果は導き出せていないと思うがいかがか。

 「厳しく批判されるべきは、県民の民意を無視し、辺野古新基地建設を強行してきた自公政権である。民主主義の国で許されないことだ。私たちは、沖縄県民を愚弄(ぐろう)する自公政権を終わらせ、県民の声が届く新しい政権をつくることを呼び掛けている。政権交代を実現して、立憲主義を回復し、新基地建設の中止、建白書の実現に全力を尽くす決意だ」


― 国場氏へ質問 ―

赤嶺氏「南部土砂使用撤回を」 → 「配慮なしなら反対」
下地氏「実現した基地負担軽減策は」 → 「事故時の指針改定」

 赤嶺氏から国場氏へ―沖縄戦最後の激戦地で、慰霊の地である本島南部の土砂を辺野古の埋め立てに使う政府の計画は撤回すべきと考えるがいかなる立場か。

 「戦没者の遺骨は徹底して調査し弔うべきであり、民間・公共工事問わず遺骨に配慮しないならその活用は断固反対。戦没者の遺骨の徹底調査は国家の責務だ。ただ南部に限定して反対するのも不自然。南部の土砂は既に、那覇空港第2滑走路工事などでも使用されており、今まで沈黙し、普天間飛行場の代替施設建設の活用検討が出たこの時期に突如として問題視しているのは遺骨の政治利用ではないか」

 下地氏から国場氏へ―4年間の任期で外務大臣政務官も務められ、「私が提案し、実現し、沖縄の基地負担軽減につながった」と明確に言える施策はあるか。

 「米軍機の整備・点検の安全性を高める仕組みづくりや航空機事故発生時の緊急立ち入り迅速化を繰り返し訴え、日米の専門家会議設置や航空機事故に関するガイドライン改正につなげた。基地負担軽減には台湾海峡の安定化と、尖閣諸島の鎮静化が不可欠との認識で台湾問題の重要性と尖閣諸島の領有権を米国政府に認めさせるための取り組みや、新型コロナ対策で台湾を孤立させないための取り組みに力を入れた」


― 下地氏へ質問 ―

赤嶺氏「自民復党、県民を愚弄」 → 「出会い大切に歩む」
国場氏「復党への動き、分断招く」 → 「新たな保守合同を」

 赤嶺氏から下地氏へ―自民党離党後、各党を渡り歩き、IRで除名処分を受けると自民党に復党を働き掛けている。あまりに県民を愚弄(ぐろう)する姿勢ではないか。

 「裁判の客観的な結果を見て『除名は値しない』との判断から、除名処分撤回を求める上申書を日本維新の会に提出している。山中貞則先生を師と仰ぎ自民党に入党し、亀井静香先生のご指導をいただくために国民新党へ入党し、地方分権を同じ歩みで進めようと橋下徹氏と合意し、日本維新の会に入党した。人との出会いが私を育ててきた。これからも出会いを大切にしながら政治の道を歩む」

 国場氏から下地氏へ―保守合同は賛成だが自民党復党は組織決定と国会法により不可能にも関わらず、一連の動きが分断混乱を招いていることへの見解は。

 「経済界の集まりである保守合同の会議から、沖縄のリーダー的企業の国場会長が音頭を取り、『保守の合同とは、企業もあるが、政治家にもある』との認識の下、私に復党要請があり、今日に至っている。2016年の参院選から今日に至るまで、各種選挙を同じ目的で一体となって戦ってきた。沖縄の新たな保守合同の姿をつくりだすためにも、感情的にならず、まとまることが大事だと考える」