立憲民主議員が「Dappi」ツイート発信会社を提訴 沖縄でも誤情報 得意先の一つに「自由民主党」


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名護市辺野古新基地では「住宅の上空だった飛行経路も海上に変わる」と説明する安倍晋三元首相の不正確な発言を紹介するツイッターアカウント「Dappi」

 匿名アカウントによるうそのツイートで名誉を傷つけられたとして、立憲民主党の小西洋之、杉尾秀哉の両参院議員が、東京都内のウェブ関連会社を相手取り880万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こしたことが16日までに分かった。小西議員が明らかにした。提訴は6日付。

 小西議員によると、このアカウントは「Dappi」。2019年6月に開設され、16万人以上のフォロワーがおり、プロフィル欄には「日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです」などと記されている。

 小西議員らは、このアカウントが20年10月25日、森友学園を巡る公文書改ざん問題について「近財(近畿財務局)職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間つるしあげた翌日に自殺」と投稿したツイートは、事実ではないと訴えている。

 小西議員らは、このアカウントの発信者情報を開示するよう東京地裁に申し立て、地裁は今年9月、開示を命じる判決を出した。関係者によると、発信者は世田谷区に本店を置くウェブ関連会社。信用調査会社によると、得意先の一つは「自由民主党」という。

 うそのツイートで名誉を傷つけられたとして、立憲民主党の小西洋之、杉尾秀哉の両参院議員が東京都内のウェブ関連会社を相手取り損害賠償などを求める訴訟を起こした件で、同社アカウントが沖縄に関しても多数投稿していたことが16日、分かった。少なくとも45本投稿されており、一部には事実誤認や安倍晋三元首相の発言を引用した不正確な情報も含まれている。フォロワー16万人超、拡散力のあるアカウントが沖縄に関しても誤った情報を拡散させていた可能性がある。

 このアカウントは「Dappi」の名義で登録されており、国会でのやりとりや政治家、評論家らの発言などを文字や動画リンクで紹介し、自身の見解も付け加えている。

 16日現在、ツイートの数は5135件ある。このうち「沖縄」についての投稿を抽出すると、少なくとも45件あった。

 東村高江の米軍ヘリコプター発着場建設への抗議行動を取り上げた番組「ニュース女子」で、名誉を傷つけられたとしてヘイトスピーチ反対団体代表が、制作会社のDHCテレビジョンなどに1100万円の支払いを求めた訴訟の判決に関しても投稿している。9月3日のそのツイートでは「DHCテレビ『裁判で“ニュース女子の沖縄特集”は削除しなくていいとの判決は全然報じられない』」と記していた。

 だが、削除が認められなかったことは本紙9月2日付紙面の記事2本で取り上げている。ほかの報道各社も伝えており、16日現在もインターネットで検索すれば記事はすぐに見つかる。

 米軍普天間飛行場移設に伴う辺野古新基地建設についての投稿もある。2019年7月4日には安倍元首相が「住宅の上空だった飛行経路も海上に変わる」と負担軽減を強調するような発言を引用した上で「これをちゃんと報じてほしい」と見解を添えている。

 だが、辺野古新基地での飛行経路は海上に限定されていない。そもそも防衛省の普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書で「気象、管制官の指示、安全、パイロットの専門的な判断、運用上の所要等により、航空機は図示された場周経路から外れることがあります」と明記している。不正確な元首相の発言を拡散させたことになる。

 「Dappi」の投稿には、このような事実誤認や不正確な内容だけでなく、政治家の発言などは事実である情報もある。一方、双方が混在するため判別するのが難しい。

 同時に、アカウントの発信者とされるウェブ関連会社の得意先の一つに「自由民主党」が入っている。

 ウェブ関連会社は本紙のメールでの質問に対し「お問い合わせの件につきましては国会議員が弊社を提訴したと聞きました。訴状を見ていないのでコメントのしようもなく、回答は差し控えさせていただきます」と回答した。

(仲村良太)

 

 


 

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