粘って粘って興南がサヨナラ 十四回死闘、九州切符つかむ 県高校野球秋季大会


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興南―沖縄水産 13回1死二、三塁から同点適時三塁打を放つ興南の石川泰平=17日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(又吉康秀撮影)

 高校野球の第71回県秋季大会第9日は17日、沖縄市のコザしんきんスタジアムで準決勝を行った。今大会初の延長戦となった興南と沖縄水産の一戦は、延長十四回に及ぶ接戦の末、興南が8―7でサヨナラ勝ちした。前原は投打がかみ合い北山に12―2の五回コールド勝ち。ここまで5試合すべてでコールド勝利を収め、49年ぶりの決勝進出を決めた。

13回 石川殊勲の同点打

 培ってきた粘り強さ、チャンスでの勝負強さが凝縮された4時間だった。何度も立たされた劣勢を覆し、興南が執念の1勝をつかんだ。

 この日、八回まで7安打2得点と打線は湿り気味。だが、3点ビハインドで迎えた九回からが興南の真骨頂だった。1点を返した直後、6番・金城南隆の左中間への二塁打で試合を振り出しに戻した。

 十三回には沖縄水産に2点を奪われ再び苦しい状況に。その裏の攻撃、1死二、三塁の場面で十回から途中出場した石川泰平が打席に立った。「得点圏にランナーがいたので、単打でつなぐことだけ意識した」。コンパクトに振り抜いた打球は、左中間を破る同点の三塁打となった。

 打った瞬間にほえた石川は「集中しすぎてあまり覚えていない」と無我夢中で走り抜けた。勝負どころで出た一打に、我喜屋優監督も「素晴らしいバッティングだった」と評価した。

 延長十四回に1年・平山航多のサヨナラ打で試合を決めた。我喜屋監督は「負けパターンの展開だったが、よくひっくり返した。選手たちの執念に敬意を表したい」と目を細め、ナインの奮闘をねぎらった。
 (上江洲真梨子)

投打でチームけん引

4回から登板し、延長14回まで142球を投げ抜いた興南の平山航多(ジャン松元撮影)

 急成長を続ける1年生・平山航多が投打でチームをけん引した。沖縄水産の左打者を警戒し、四回途中から登板。変化球が狙われていると感じると、低めに集める配球で凡打を量産した。走者を背負う場面では直球で三振を奪い「緩急をつけて理想の投球ができた」と粘投を続けた。

 打撃でも活躍した。十四回1死満塁で巡ってきた打席は「野手にも助けてもらったので、勝負を決めるつもりだった」。言葉通り、左超えのサヨナラ打で勝利の立役者の一人となった。

 平山を支えた捕手の盛島稜大は試合後、目を赤くして男泣き。十四回に右前打で出塁し「チャンスで打てず実力不足を感じたが、最後は平山につなげられてうれしかった」と喜びをかみしめた。