前原、49年ぶりの決勝へ つなぐ打線で1イニング6得点 県高校野球秋季大会


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前原―北山 北山にコールド勝ちし、49年ぶり3度目の決勝進出を喜ぶ前原ナイン=17日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(ジャン松元撮影)

 高校野球の第71回県秋季大会第9日は17日、沖縄市のコザしんきんスタジアムで準決勝を行った。今大会初の延長戦となった興南と沖縄水産の一戦は、延長十四回に及ぶ接戦の末、興南が8―7でサヨナラ勝ちした。前原は投打がかみ合い北山に12―2の五回コールド勝ち。ここまで5試合すべてでコールド勝利を収め、49年ぶりの決勝進出を決めた。

 持ち味のつなぐ打線が準決勝でも火を噴いた。前原は二回に打者一巡の6安打6得点で一気に流れを引き寄せ、攻撃の手を緩めず五回までに12点を奪った。

 ここまで全てコールドゲームの快進撃に東亮監督は「実際は常にひやひやしていた」。冷静に受け止めながらも、選手の成長を喜ぶ。

 長短打と小技を駆使して躍動した。二回に口火を切ったのは6番山城勇磨。内野安打で出塁し、犠打や単打などで上位打線につなぐ。1番又吉哲大は三遊間を抜き、2番佐久本元太はバント安打を決めた。4番新里紹舜は2打席連続の三塁打を放ち、5番比嘉健登の右前打で生還した。

 打線の好調ぶりに東監督は「低めの変化球は捨てるなど、決めたことや自分の責任を徹底してきた結果だと思う」と分析する。

 この日4打数4安打と調子を上げてきた又吉は、先頭打者として多投させることを意識し、球筋の見極めに生かした。決勝でも「泥臭く1番の責任を果たしたい」と誓う。主将の新里も「持ち味のバッティングを生かしいい雰囲気で戦いたい」と意気込む。勝利をたぐり寄せてきた畳み掛ける打撃力で、頂点を取りに行く。
 (謝花史哲)

横田、スライダー武器に完投

5回を被安打4で完投した前原の横田琉空(ジャン松元撮影)

 前原のエース横田琉空が完投勝利を収めた。味方の大量援護で五回コールドだったとはいえ「初回から全力で投げてスライダーの切れも良かった」と2失点に抑え、満足の内容だった。中学3年の頃は身長約160センチで控え投手。公式戦の登板は1イニングだけだった。それが今では176センチに。手足の長さを生かしたスライダーが得意になった。「監督が長いイニングを投げさせてくれた」と急成長した。今夏の県大会も3年生のチームで先発出場するなど経験を積んだ。

 準決勝は、決め球の沈むスライダーがさえ渡り被安打4に抑えた。決勝でも完投を狙い「全力で投げていきたい」と出し尽くす。