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観光需要と業況感に高い連動性 垣根超えたチャレンジを<けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 足下の業況は、緊急事態宣言解除などで幾分か企業等への影響が和らぐと推察されますが、地域全体の回復には少々時間を要する可能性があります。

 ここで、観光需要と業況感の動向等を整理してみましょう。図表は、2008年頃から直近までの入域観光客数(前年同期比)と業況感を示したものです。前者は2011年夏場以降からプラスに推移し、12年以降は爬行しながらも二桁成長が続きました。後者もその他サービス業や小売業の業況DIも連動していることが分かります。

 ちなみに、入域観光客数との関連性の強弱をみるため相関をとると(値が1に近ければ関係性が強い)、業種全体DIは0.787であり、その他のサービス業が0.849、小売業DIが0.838と双方の連動性がみてとれます。

 直近における業況感(業種全体DI)をみると、2020年4~6月期の△61.1を底にマイナス幅が縮まり、水面付近を推移しています。しかしながら、観光需要の好調時からの大幅な落差(勢い)に加えてこれまでの累積値(水準)も波及すると推察され、新型コロナウイルス感染症の長期化による地域経済への影響が懸念されます。

 今後、ワクチン接種率の拡大などに伴う世界的なヒトやモノなどの往来再開が期待される中、従来のリアル(対面)のみならずバーチャル(インターネット等)を介して需要をどうキャッチアップしていくのか、業種の垣根を越えたマッチング等による構造転換を踏まえた各種チャレンジが求められます。
 (おきぎん経済研究所研究員 當銘栄一)