コロナ重症化備え体制の再構築を 徳田安春・筑波大客員教授(医師)<識者の見方・衆院選2021>1


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徳田安春氏

 31日投開票の衆院選に向け、新型コロナウイルス感染症対策や基地・安全保障など、県内の識者に主要な論点を聞く。
 (’21衆院選取材班)

    ◇   ◇

 ―新型コロナウイルス対策で重要なテーマは何か。

 「医療体制の再構築と、検査体制の拡充だ。第5波では自宅療養中に症状が急変して多くの方が亡くなられたケースが全国的にかなりあった。コロナは当初は軽症でも急変して重症化することがある。家族がいると感染リスクもあり、自宅療養には課題がある」

 ―どう見直すべきか。

 「隠れた重症化リスクがあるかもしれない患者に対し、医師が判断せず、自治体の担当者がフローチャートのみに従い自宅療養などに振り分け、その後急変した事例が全国的にあった。急変リスクを過小評価した制度設計ミスだ。この体制を抜本的に変えないと、また同じことを繰り返すだろう。この感染症では早期の検査、診断、治療、保護隔離が大切だ。爆発的に患者が増えたときに備え、臨時医療施設の設置も計画しておく必要がある」

 ―検査体制はどうか。

 「日本は先進国の中で圧倒的に検査数が少ない。民間検査は増えたが、行政検査がいまだに少ない。経済的に余裕のない方は検査費用の負担が困難となり、格差が広がっている。沖縄は台湾やニュージーランドのように封じ込めやすい地理的環境なのに、水際対策を徹底せずに感染拡大を何度も許してしまった。岸田首相は総裁選で無料のPCR検査を拡充すると言っていたが、トーンダウンした」

 ―第6波にどう備えるべきか。

 「季節的周期があり、次の波は必ず来る。ワクチン効果は確かにあるが、数カ月で感染予防効果が減弱することが分かってきた。ワクチン接種が進んでも感染者が増えている国は多い。感染収束がワクチンだけのおかげだと思ったら、また同じ失敗を繰り返す。ワクチン後は『ウィズ検査』に移行し、感染しないように社会経済活動を回す必要がある。行政検査の対象者は拡大すること。那覇のような感染高密度地域に無料で予約なしの検査場を設置するなど、どこの先進国でもやっていることがなぜできないのか、選挙戦でも議論してほしい」