ことし6~8月にかけて、沖縄県内11市のすべてで新型コロナウイルスのワクチン接種業務に関わる職員が「過労死ライン」とされる月100時間超えの時間外労働をしていたことが、琉球新報の調査で20日までに分かった。100時間超えは計84人に上った。最長の職員は沖縄市の229時間、次いで那覇市の197時間だった。政府が65歳以上のワクチン接種の加速を全国の自治体に要請したことを受け、関係業務が増えたことが要因とみられる。
時間外労働を余儀なくされた理由として「急ぎの業務が多く、1人当たりの業務量も多い」(那覇市)、「予診票システム入力業務」(浦添市)、「土日も実施している上に、振り替え休の取得も困難な状況のため」(うるま市)など、業務の集中化を挙げている。
時間外労働の職員数が最も多かったのは、沖縄市と豊見城市の15人。次いで、石垣市が14人、那覇市が13人だった。全市とも時間外労働の賃金の未払いは発生していない。
各市は人事異動や会計年度任用職員(非常勤職員)を採用するなどの人員増、振替休取得ができる接種体制などを講じ、負担軽減を図っている。ある市の職員は「6月は目が回るほど忙しかったが、少し落ち着いている」と話した。
県内のワクチン接種率は20日時点(全世代)で、1回目が66・3%、2回目が61・0%。厚生労働省は15日、ワクチンの3回目接種用のファイザー製ワクチンを各自治体に配分すると発表。12月から3回目の接種が始まる見込みとしている。