【記者解説】サキタリ洞遺跡で相次ぐ貴重な発見 沖縄特有の土壌、開発の影響もなく


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貝製ビーズが見つかったサキタリ洞遺跡の発掘調査場=21日、南城市の「ガンガラーの谷

 南城市のサキタリ洞遺跡で考古学上の貴重な発見が相次ぐ背景には、沖縄特有の土壌であることに加え、開発による遺跡の破壊が行われなかったことも重なった。日本各地にある酸性の土壌では、人骨や遺物が長い年月の中で溶けるなど残りづらい傾向がある。一方、沖縄は石灰岩などがあるアルカリ性の土壌のため、県内各地で人骨や遺物が比較的残りやすく、古い時代の出土品につながっている。

 さらに、同遺跡を含む地域で2008年に観光施設「ガンガラーの谷」がオープンした後も含め、大規模な開発はなく、遺跡が良い状態で保存されることにつながってきたという。

 同遺跡は今後、さらに古い地層の調査も予定される。地層や遺物、理化学的な調査など多角的に出土品の根拠を分析することを前提にしつつ、古代の沖縄に住んでいた人々の暮らしの解明につながる調査・研究の進展が注目される。
 (古堅一樹)