【恩納】恩納村の真栄田岬を利用するマリンレジャー業者や一般利用者の入域を制限する内閣府の実証実験に対し、村民からは「利用者が多すぎて環境や集落に過度な負荷がかかっていたので適切な規模を調べるいい試みだ」と期待する声が上がった。一方で業者からは「コロナで大打撃を受けたのにさらなる追い打ちだ。つぶれろと言わんばかりだ」と悲痛の声が漏れた。
人気のダイビングスポット「青の洞窟」を訪れる国内外の行楽客らでにぎわう真栄田岬。コロナ前は1日で最大7千人ほど訪れることもあり、サンゴの踏み付けなど生態系への過度な負担が問題視されていた。
こうした問題に対応しようと、恩納村は2018年に「サンゴの村宣言」をしたほか、現在は国連が進める、環境に優しいダイビング「グリーンフィンズ」の導入も検討。長浜善巳村長は「実証実験はSDGs(持続可能な開発目標)に沿った観光の在り方を検討する機会になる」と評価した上で、「入域制限の本格導入には合意形成が必要だ。住民や事業者の意見を聞きながら進めていくことになるだろう」と述べた。
レンタカーや一部のダイビング業者の送迎車両が集落に無断駐車し、たびたびトラブルになっていた。真栄田区の安冨祖正也区長は「集落内の路上駐車で迷惑を被った住民もいる。オーバーツーリズムが住環境に与える影響を検証し、住民にとっても住みやすい環境になれば」と期待した。
一方、入域制限が観光産業に与える影響は必至で、事業者からは批判的な声も。恩納村内のダイビング業者は「コロナで売り上げが激減し、ガイド料を安くしてなんとか経営している業者が多いのに、人数を制限すれば破綻してしまう」と声を落とす。「青の洞窟を求めて人が来ている。入域を制限したからといって別の場所に分散することはない」と指摘した。
読谷村のマリンレジャー業の男性は「ダイビングよりも高水温がサンゴに与える影響が大きい」と述べ、マリンレジャーに対する印象悪化を懸念した。